瀧内公美が日曜の夜を刺激的に 『光る君へ』『ブラックペアン』で放つ“強敵”オーラ
NHK大河ドラマ『光る君へ』、TBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』、どちらも8月11日の放送休止回を経て、後半戦に向けて再スタートする。そんな節目となる放送回で、どちらの作品も出演するのが瀧内公美だ。
『光る君へ』で瀧内公美が演じる源明子は、藤原道長(柄本佑)のもう一人の妻(妾)であり、高貴な血筋の姫ながら、幼い頃に父・高明が政変で追い落とされたことの恨みを忘れず、道長の父・兼家(段田安則)を呪詛した。抑えきれない情念を内に秘め、静かに目的を果たす。理性的で気高い明子の複雑な胸の内を瀧内公美は繊細に表現してきた。
道長の優しさに心惹かれるものの、どこか満たされない思いを抱えている明子は、自分の子どもたちへの期待が日増しに強くなっているようだ。
最近では、道長の嫡妻・倫子(黒木華)との火花散るバトルがSNSでもトピックになるなど、それぞれの子どもを巡るやりとりがヒートアップしている。嫡妻の倫子も明子も、同じように道長との間に6人の子を産んでいる。妻と妾、どちらにも優しく、道長はどちらのことも尊重している。
それでも、結局まひろ(吉高由里子)だけは特別な存在で、まひろを忘れられない道長の態度も倫子と明子の自尊心を傷つける元凶となりそうでハラハラさせられるのだ。
第29回「母として」では、土御門殿で道長が主催した女院・詮子(吉田羊)の40歳を祝う「四十の賀」が行われた。そこで、倫子の子の田鶴(三浦綺羅)、明子の子・巌君(渡邉斗翔)がそれぞれ童舞を披露。教育に人一倍熱心な明子はこの日のために巌君にどれだけ特訓をしたのだろう。上品に舞を眺める明子の目の奥には燃える炎が見えるようで、篝火のバチバチと燃える効果音が倫子と微笑み合う場面を強く印象づけた。
社交的センス抜群で、誰に対しても自分の思いを物怖じせずに発言する倫子とは別の強さを持った明子。自分の秘めた目的を果たすためにすべきことを明確に捉え、明子は本心を見せずに達成していく。男性だったら、兄の俊賢(本田大輔)以上に昇進を重ね、出世するタイプだともいえる。
権力にも、父の敵にも執着心が強いが、それをおくびにも出さない明子の怖さ、美意識の高さがパワーアップしていることも興味深い。嫡妻の倫子との関係に加え、中宮彰子(見上愛)の女房となり、道長の支えを得て「源氏物語」を執筆するまひろを明子はどう捉えるのか。気になるところだ。