7月期ドラマは“柄本一家”が大活躍! 『新宿野戦病院』『光る君へ』『錦パラ』での存在感

7月期ドラマは“柄本一家”が大活躍!

 芸能一家、もとい、俳優一家というのが世の中には存在する。親も子も、誰もが優れた演技者であり、一人ひとりが現在のエンターテインメント界の最前線に立つ一家のことである。

 すぐに何組かの家族が思い浮かぶことだろう。そしてその中でも多くの人が、柄本明、柄本佑、柄本時生の親子を思い浮かべるのではないだろうか。

 “クドカン”こと宮藤官九郎が脚本を手がける『新宿野戦病院』(フジテレビ系)での柄本明は、高峰啓介というキャラクターを演じている。同作の主な舞台は、新宿・歌舞伎町に佇む「聖まごころ病院」という古びた病院。啓介はここの3代目の院長で、あらゆる患者を分け隔てなく治療することから「歌舞伎町の赤ひげ先生」と称されていた存在だ。しかしそれは過去の話。医療費の未払いなどによって多額の借金を抱え、アルコール依存症となり、いわばギリギリの状態。そんな彼のもとに個性的すぎる面々が集い、ハチャメチャな人間模様を展開させているのだ。

『新宿野戦病院』©︎フジテレビ

 本作の主人公は、金もうけ主義の美容皮膚科医・高峰享(仲野太賀)と、軍医経験を持つ女医のヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)のふたり。劇中の人間関係においてはやはり院長である啓介がトップなはずだが、そうはさせないのがこのドラマらしさ。仲野と小池、さらには平岩紙、余貴美子、高畑淳子、生瀬勝久、濱田岳、岡部たかし、馬場徹、塚地武雅といったこれまた一流の演技者たちがクドカン脚本の妙を会話劇によって展開させていく。

 ここで重要なのが、院長である啓介がどのような振る舞いを見せ、人々からどのように扱われているのか。繰り返すように本作の主な舞台は病院である。ここのトップがどのような存在なのかが、そのまま作品の世界観を示すことにつながるのではないか。柄本明はときに攻めのスタンスで、またときには受けのスタンスで、柔軟に『新宿野戦病院』の中心に存在し続けている。じつは彼こそが、作品の世界観を提示する役割を担っていると思うのだ。

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