『笑うマトリョーシカ』玉山鉄二が見せた涙と激情 鈴木が清家に“裏切られる”結果に

『笑うマトリョーシカ』玉山鉄二が見せた涙

 しかし、まるで見えない政治の盤上でチェスを打っているかのように、浩子の巧妙な手は確実に道上たちを追い詰めていく。突如、鈴木の過去について暴露した週刊誌の記事が関係者に送りつけられる。その記事は、鈴木が実はBG株事件で話題となった宇野耕介の息子であることを明かし、さらに「政治家に根深い恨みを持っている」という内容を展開していた。

 この記事が浩子の仕業だと直感した道上は、ひとつの推論に至る。鈴木が清家のブレーンになる以前から、既に浩子が清家を巧みに操っていたのではないかと。しかし、これまで「俺がいないとお前は何もできないんだなぁ」と満足げに清家に語っていた鈴木は、この推論を容易に受け入れられずにいた。

 そして、道上の予想は悲しくも的中することとなる。鈴木と2人きりになった清家は、高校時代の生徒会選挙の思い出を懐かしそうに振り返る。その中で、当時鈴木の忠告を無視して涙を流したことについて言及する。「あれは、感極まったら素直に泣いていいんだって、そう言われたから」「俊哉くんは手放すな」という清家の言葉は、どれも当時から彼の背後に浩子の存在があったことを示唆していた。

 この瞬間、鈴木は愕然とする。彼が清家のブレーンとして自負していた関係が、実は最初から浩子によって巧妙に演出されたものだったという残酷な真実に直面したのだ。つまり、鈴木自身も知らぬ間に浩子の綿密な計画の中で、ただの駒として扱われていたのである。

 暴露記事の影響で、鈴木はしばらくの間政界から身を引き、謹慎生活を余儀なくされる。これまでの鈴木を演じる玉山鉄二の演技は、どこか政治家らしい硬さを感じさせるような鋭い目力が特徴的だった。しかし、第6話では意外にも彼の新たな一面が露わになる。声を震わせ、堰を切ったように涙を流す演技が、鈴木の内面に秘められていた感情の深さを如実に物語っていた。彼の涙とともに、清家との思い出が走馬灯のように蘇る。高校時代の熱い友情、政界での苦難を乗り越えてきた日々、そして2人で描いてきた未来への夢。これらの記憶が、鈴木の心を激しく揺さぶる。

 もちろん、自分が支配していたと信じていた人物が、実は別の力によって操られていたという事実のショックは計り知れない。しかし、鈴木の涙には、それ以上の意味が込められているようだ。清家は彼にとって単なる政治的駒ではなく、真の友人であり、苦楽を共にしてきたかけがえのないパートナーだったのだろう。この場面は、政治の冷徹な世界の中にあっても、人間的な絆や感情が存在することを強く印象づける。ある意味では清家に“裏切られた”鈴木が、今後どのように動くのかが、第7話の鍵になるのだろう。

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