山﨑賢人は“日本の夏”を象徴する存在だ 『キングダム』シリーズにおける“成長”を振り返る
エンターテインメントを愛する人々にとって、ここ数年の日本の夏を象徴する存在といえばズバリ、山﨑賢人なのではないだろうか。
そう、彼が主演を務める『キングダム 大将軍の帰還』が封切られたことにより、早くも「夏本番!」といったところ。この夏の彼は私たちを、いったいどこまで連れていってくれるのだろうか。
大人気マンガ『キングダム』の映画シリーズがはじまったのは、2019年の春のこと。同作はその年を代表する大ヒット作となり、続く『キングダム2 遥かなる大地へ』(2022年)、『キングダム 運命の炎』(2023年)、そして今作『キングダム 大将軍の帰還』と、続編はいずれも7月に公開されてきた。そしてそのたびに主演の山﨑は、私たちの夏をよりアツいものにしてきたのだ。
このシリーズで山﨑が演じているのは主人公・信。かつては秦国の戦災孤児で下僕だったが、戦乱の世で「天下の大将軍」を目指し、邁進し続ける人物だ。今作は前作『運命の炎』に引き続き、秦国と趙国の総力戦が展開。秦国軍総大将・王騎(大沢たかお)と趙国軍総大将・龐煖(吉川晃司)の因縁の対決を中心に、飛信隊を率いる信の活躍と精神的な成長が描かれる。
原作の読者ならば分かっていたことかもしれないが、信は物語の真ん中に立ち続けるわけではない。先述しているように本作が主として描くのは、総大将同士の対決の行方である。それに本作は戦乱の世を描いたものとあって、とにかく登場人物が多い。そしてそれぞれの思惑が激しく交錯するものだから、いくら主人公とはいえ、信の一挙一動ばかりを追うわけにはいかない。彼の仲間や観客である私たちは信のことを特別視しているが、劇中では大きなうねりが終始いくつも起きているのだ。
これを言い換えるならば、主演の山﨑の出番は決して多いわけではないということ。物語の構成や信の立場上、どうしたって山﨑の出番は限られてくるわけだ。しかしそれでも彼は最初から最後まで、“主演俳優”であり続けている。