『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』スピンオフならではの魅力 “凸凸コンビ”が大活躍

『ワイルド・スピード』初のスピンオフの魅力

 7月6日の『土曜プレミアム』(フジテレビ系)で、『ワイルド・スピード』(以下、『ワイスピ』)シリーズ9作目にして初のスピンオフ、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)が放送される。本作はシリーズの人気キャラクター、ルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)がバディを組む、ファンにはたまらない作品だ。

 大人気アクションスター2人がチームアップした本作は、同シリーズの他作品とは一味違ったスパイアクション的な雰囲気や、いがみ合うホブスとショウのバディ感も楽しめる良作。ここではその見どころを紹介していこう。

荒唐無稽なストーリーとド派手なアクション

 『ワイスピ』シリーズはその荒唐無稽なストーリーと、想像の斜め上を行くアクションで多くのファンから愛されてきた。スピンオフである本作でも、その魅力は変わらない。

 本作のあらすじはこうだ。ロサンゼルスで娘と暮らすルーク・ホブスと、ロンドンで優雅な生活を送るデッカード・ショウは、米英両政府からある協力要請を受ける。MI6の女性エージェントがテロ組織から人類の半分を滅ぼす新型ウイルス兵器を強奪し、行方をくらませたというのだ。テロ組織に人体改造を施され、半サイボーグ化した超人ブリクストン(イドリス・エルバ)に追われている彼女を保護するのが彼らの任務。しかもそのエージェントは、デッカードの妹ハッティ・ショウ(ヴァネッサ・カービー)だった。

 「黒いスーパーマン」を自称するブリクストンは一見普通の人間だが、サイボーグ化によって強化された能力で、ホブスたちを窮地に追い込む。彼とその仲間たちが乗っている変幻自在のバイクや特別仕様の拳銃なども、荒唐無稽な楽しさを演出する。デッカード・ショウが驚異的な運転技術を見せるロンドンでのカーチェイスや、後半の最終決戦でのカーアクションも度肝を抜く。これこそ『ワイスピ』だと思わせる、迫力のあるアクションシーンの数々も見どころだ。

凸凹コンビならぬ凸凸コンビのバディ感

 本作の主人公の1人、ルーク・ホブスは、シリーズ5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)でアメリカ外交保安局の敏腕捜査官として初登場した。国際指名手配犯となっていたドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)らを追っていたホブスだったが、彼の人間性に触れ、一時見逃すことを選んだ好敵手的存在だ。

 一方のデッカード・ショウは、シリーズ6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)のヴィラン、オーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンズ)の兄として同作のミッドクレジットシーンで初登場。レース中の事故に見せかけてドミニクのファミリーの一員であるハン・ソウルオー(サン・カン)を殺害し、つづく『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年/以下、『SKY MISSION』)で本格的にヴィランとして活躍した。元イギリス特殊部隊員で元MI6のエージェントのショウは、今は凄腕の殺し屋だ。

 2人が真逆な生活を送っていることは、冒頭の彼らのモーニングルーティンからもはっきり見て取れる。上半身裸で寝ているホブスと、きちんとパジャマを着て寝ているショウ。それぞれ午前6時に起床し、1日をスタートさせる。ホブスのストイックな生活とショウの優雅な生活は面白いほど対象的だ。

 2人は『SKY MISSION』でショウがホブスに重傷を負わせたこともあり、シリーズ8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年/以下、『ICE BREAK』)では刑務所で乱闘騒ぎも起こした犬猿の仲。そんな彼らが本作では強制的に手を組まされる。パワー系のホブスとスタイリッシュなショウのコンビはそれぞれに個性が強く、自己主張も強い。お互いに一歩も引かない2人は、凸凹コンビならぬ凸凸コンビだ。かつては敵同士だった2人が、衝突し罵り合いながら同じ目的のために渋々協力するのは、バディ物の醍醐味であり、本作もそんな楽しさを惜しみなく見せてくれる。

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