『ワイルド・スピード』を取り巻く確執の歴史 ドウェイン・ジョンソンの離脱から復帰まで
4月6日にフジテレビ系『土曜プレミアム』にて、『ワイルド・スピード ICE BREAK』が放送される。
『ワイルド・スピード』といえば、2001年に公開された第1作から23年の歴史を誇る壮大なカーアクション映画のフランチャイズ。回を重ねるごとに予算もスケールも爆発的に大きくなっていったシリーズは、舞台裏で起きていた主役ドミニク・トレット役のヴィン・ディーゼルと、『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)で初登場したルーク・ホブス役のドウェイン・ジョンソンの確執でも有名だ。
一時は、完全にジョンソンがシリーズから離脱したものと絶望視されていたが、なんと最新作『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023年)のエンドクレジットで、まさかのホブス復活が実現した。そこで、ジョンソンがカムバックするまでの道のりがどのようなものだったのか、これまでにディーゼル&ジョンソンが繰り広げた確執の歴史を振り返ってみたい。
事の発端はドウェイン・ジョンソンによるSNSの投稿
2大アクション人気俳優が公に火花を散らし始めたのは、遡ること2017年公開の『ワイルド・スピード ICE BREAK』。同作の撮影中にジョンソンが自身のInstagramで、ある男性共演者を「自立した男として、またプロフェッショナルとして自覚がない臆病者」と批判したことに端を発する(※1)。問題の投稿は後に削除され、名前こそ出していなかったものの、“ディス”の対象人物がディーゼルだったことが判明。こうして不仲が明るみとなってしまった2人は、『ICE BREAK』の撮影中に話し合いの場を持ったという。ところが、映画製作や仕事の取り組み方に対する2人の哲学が全く違うと分かっただけで、根本的な解決にはならなかったようだ。
『スーパーコンボ』が2人の溝を深める要因に
2人が和解に至らなかったことは、『ICE BREAK』の続編となるシリーズ第9作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2020年)に、ジョンソンが出演しなかったことからも十分読み取れる。ところが、『ジェットブレイク』にカムバックしなかったジョンソンは、自身が演じるホブスと、ジェイソン・ステイサム扮するデッカード・ショウを主人公にした初スピンオフ映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)には、ちゃっかり出演しているのだ。
なんでも『スーパーコンボ』は、ディーゼルとジョンソンの確執を深める要因になってしまったと言われている。シリーズに途中から参加したジョンソンとステイサムが主演するスピンオフ映画は、『ジェットブレイク』よりも優先して進められたとも報じられており(※2)、ディーゼルをはじめとするオリジナルキャストの不満を煽ったとされ、『スーパーコンボ』に本家の主要キャストによる友情出演はなかった。
2人の水掛け論が続く
『スーパーコンボ』を境目に、同じフランチャイズ内でディーゼルとジョンソンが平和に別々の道を歩むのかと思いきや、2021年6月にディーゼルがジョンソンとの確執について、余計な一言を発信。「(ホブス役に)必要な演技を引き出すため、厳しい愛のムチをふるうのが僕のやり方だった」と、やや上から目線のコメントを発したことで、確執が再炎上する事態に。「フェデリコ・フェリーニ風ではないですが、自分の作品のパフォーマンスのためならなんでもします」と付け加えたディーゼルの言葉に対し、ジョンソンが「あれには笑った」と反応。お互いに対する批判を水掛け論的に延々と続け、その時点でジョンソンは本家シリーズへの復帰を完全に否定していた。