『虎に翼』花江と寅子の対照的な“価値観” 森田望智が芯のある“女性らしさ”を表現
NHK連続テレビ小説『虎に翼』第8週「女冥利に尽きる?」が放送された。直道(上川周作)、轟(戸塚純貴)、優三(仲野太賀)……とうとう寅子(伊藤沙莉)の大切な人たちにまで赤紙が届くように。法の道を諦めて家に入った寅子の傍らには、愛する直道の不在に寂しさを隠せない花江(森田望智)の姿があった。
今週の花江の健気な姿に心揺さぶられた視聴者は多かったことだろう。直道に赤紙が届いた時には声を出して泣いた花江だが、出征を祝う食事会では、穏やかな笑顔で「立派に戦っていらしてね」と気丈に振る舞っていた。
いよいよ直道が家を離れる時、2人は抱き合って「俺、寝られるかな? 花江ちゃんが隣にいなくて」「大好きよ、直道さん」と声を掛け合う。必死に涙をこらえながら笑顔を作る泣き笑いの花江の「大好き」にもらい泣きした視聴者も多かったことと思う。第38話のアバンは改めて花江の魅力が強く印象づけられるストーリーとなった。
花江は『虎に翼』の初日から女学校の同級生として登場しており、寅子と対照的なキャラクター像として描かれてきた。親友でありながら、全く違った魅力を持つ2人はやがて花江の結婚により家族になる。夢中になったことに邁進する質で、疑問には見て見ぬふりができない寅子に対し、花江は世の理不尽を“乗りこなせる”タイプ。本人も直道との結婚について“したたか”という表現を使っている通り、寅子とは違った方法で「手に入れたいものを手にいれよう」という強さを持っている。決して意地悪く人を陥れるようなこともなく、夫の直道とはずっと良好な関係を築き、頑張る寅子を優しく応援してきた。時に悩み、悔しい思いをしながらも全力で嫁の務めを果たしてきた花江は猪爪家にとってなくてはならぬ存在なのだ。