奈緒&磯村勇斗コンビが復活! 『演じ屋 Re:act』は“フィクションの力”を感じる作品に

奈緒×磯村勇斗『演じ屋』の“バランス感覚”

 依頼された役になり切り、演じることで依頼者を救うーーそんな者たちの奮闘する日々を描いたドラマ『演じ屋』(2021年/WOWOW)。あれからおよそ3年の時を経て、あの“演じ屋”たちが帰ってくる。タイトルは『演じ屋 Re:act』。奈緒と磯村勇斗が再びW主演を務める本作で、演じ屋たちは何を演じ、誰を救うことができるのか。

 本作は、依頼された役になり切る職業・演じ屋にフォーカスしたユニークなヒューマンドラマ。依頼者の依頼内容はさまざまだ。単に己の欲求を満たすための依頼者もいれば、自身の抱える切実な問題に立ち向かうために依頼する者もいる。

 
 たとえば、殺人現場のシチュエーションを作り、演じ屋たちに被害者役を依頼する者がいれば、痴漢の冤罪によってすべてを失った男が再起するため、演じ屋たちとともに復讐劇を繰り広げてみたり。どんなキャラクターにも適応してみせ、あらゆるシーン(=依頼者の望む人生の瞬間)を作り上げる。それが演じ屋だ。

WOWOW製作ならではの“主張と娯楽性のバランス感覚”

 続編となる今作『演じ屋 Re:act』は、演じ屋であるアイカ(奈緒)とトモキ(磯村勇斗)が常連客の相澤(袴田吉彦)を相手に、夜の公園で殺される役を演じているところからはじまる。

 
 そこへ、ホームレス襲撃事件の張り込み捜査をしていた刑事が登場。本当に事件が起こったのだと彼は勘違いしたのだ。しかも、アイカとトモキが刑事と揉めている間、本当にホームレスが襲われる事件が発生。犯人逮捕の機を逸した刑事は、ふたりが捜査を妨害したとして逮捕し、捜査に協力するよう要請する。そんな流れでホームレスに扮したトモキは、いわゆるおとり捜査に参加し、テントが並ぶ公園の一角に潜入することになるのだ。

 前作でも“飲酒運転”や“家庭内暴力”など、現実社会でも後を絶たない問題が、コミカルな作風の物語に巧妙に織り込まれていた。特異な設定のエンターテインメントだとばかり思っていると、ふいに現実に引き戻されることになる。今作で扱われる“ホームレス襲撃”の問題も後を絶たず、たびたびニュースで取り上げられているのを私たちは知っているだろう。いや、同じ社会で生きている以上、誰もが自分事として捉えなければならない問題なはずだ。社会問題を扱ったエンタメ作品は民放のテレビドラマでも増えつつあるが、ここまで主張と娯楽性がバランスよく作品として成立しているのは、WOWOW製作ならではなのかもしれない。

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