『正義の天秤』奈緒が見せる演技の振り幅 山本千尋の“強い心”の素晴らしさも

奈緒が『正義の天秤』で見せる演技の振り幅

 亀梨和也が主演を務めるドラマ『正義の天秤 Season2』(NHK総合)が5月13日に第2話を迎えた。

 全5話で展開される今回のシーズン2は、師団坂法律事務所「ルーム1」の5人が各話で弁護人を務めるのと同時に、そのキャラクターがさらに深掘りされていく。第1話で鷹野(亀梨和也)のバディ役を担った桐生(大政絢)はそのクールな見た目とは裏腹なノリの良さ、若干の乙女心を垣間見せた。

 第2話でスポットが当たるのは佐伯(奈緒)。鷹野からは「ポンコツな上に感情的」、杉村(北山宏光)からは「ルーム1のお荷物同士」と呼ばれる始末。創業者である真樹夫(中村雅俊)のお嬢様で、親の七光りではないことを証明するために佐伯が担当弁護人を務めるのが、人気俳優・泉駿介(矢野聖人)の覚醒剤所持事件だ。泉自身は薬物常習者であることを認めているが、「警察にはめられた」と容疑を否認しているという、なかなか難儀な事件だ。

 それ以上に佐伯を追い込むことになるのが、捜査に当たっていた山本警部補(田中要次)の自殺だ。佐伯は山本の元に過剰捜査を認めるよう直談判しに行っていたことが要因なのではないかと悔やみ、自分自身を責めてしまうこととなる。シーズン1の放送から約1年8カ月ぶりに帰ってきた『正義の天秤』。その間には奈緒が主演を務めた『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)や映画『マイ・ブロークン・マリコ』、現在放送中で主演を張っている『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)があり、例えば朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の金曜パーソナリティーで見せる明るい笑顔とは真逆と言えるどん底に突き落とされた時の絶望、その振り幅は奈緒の大きな魅力であり、制作側からも強く求められている演技なのだと感じられる。

 この事件には、山本と一緒に捜査に当たっていた同僚の細川(山本千尋)が覚醒剤を泉の車に用意していたという真相があった。そこには彼女なりの正義もある。法廷に立つ細川と佐伯の表情の対比は、何が正義なのか悪なのか分からなくなる、その逆転した心理状況を表していたようにも思える。自身の正義を最後まで貫き通した細川を演じる山本千尋の芝居も素晴らしかった。真っ直ぐに裁判官を見据えながら、スーッと綺麗な涙を流す。役者としても強い心を持っていなければできない芸当だ。

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