『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』はどこまでが妄想? 特報には“ジョーカーもどき”も登場

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』特報を解説

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! さて今回は先ごろ特報映像が解禁になりネットでも話題を呼んだ『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の解説です。

 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は2019年に公開された、あの『ジョーカー』の続編。DCコミックの人気ヴィランでバットマンの宿敵ジョーカーに着想を得たダークな人間ドラマです。

 映画『ジョーカー』は社会現象を巻き起こす大ヒットとなりました。どのくらいすごいかというと、第76回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第92回アカデミー賞で最多11部門ノミネート、ホアキン・フェニックスが主演男優賞に輝きました。興行面でもR指定映画なのに世界興行収入は1,500億円(10億ドル)を突破、日本でも興行収入50億円です。これだけのヒット作の続編ですから続編が作られてもおかしくないわけですね。

 今度の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、監督がトッド・フィリップス(前作から続投)。主な出演者は、ホアキン・フェニックス(前作から続投)、レディー・ガガ、ザジー・ビーツ(前作から続投)となっています。全米公開は10月4日、日本は10月11日です。

 副題のフォリ・ア・ドゥとはフランス語で直訳すると“狂気の2人”ですが、感応精神病を意味する言葉でもあるらしい。1人の妄想が他の1人に感染し、二人で同じ妄想状態になるみたいなことだそうです。

 そう、タイトルからわかる通り今度のジョーカーは1人ではない。もう1人狂気の淵に立つ人間がいる。それは誰か? レディー・ガガが演じるハーレイ・クイン(コミックにおけるジョーカーの相棒。女ジョーカーみたいなキャラ。人気があります)の登場というわけです。

映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』特報映像

 そしてこの特報もジョーカーとハーレイの出会いがフィーチャーされています。

 ここでレディ・ガガがハーレイと聞いて「おや?」と思う方がいるかもしれません。確かマーゴット・ロビーが演じていたでしょう? その通りです。DCコミックのヴィラン映画『スーサイド・スクワッド』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』において、このアイコニックなキャラをマーゴット・ロビーが演じていました。

 しかし、この『ジョーカー』『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』はそれまでのDC映画とは別の世界観ということで作られています。例えていうなら『シン・ゴジラ』と『ゴジラ-1.0』は全く別の世界観の中にいるゴジラですよね。従ってマーゴットの代わりにガガがハーレイ役にキャスティングされたのではなく、マーゴットとは違うハーレイをガガが演じるということです。

 さて特報ですが、前作の主人公アーサーは精神医療刑務所らしきところに収監されています。恐らくここはバットマンのヴィランたちが収監されているアーカム・アサイラムでしょう。そこでアーサーは同じくここの収監者で合唱活動に参加している女性を見初めます。それがガガ演じるハーリーン・クインゼル(後のハーレイ・クイン)です。

 注目なのはコミックにおいては(かつマーゴット版の映画ハーレイにおいても)ハーレイはもともとアーカムに務める精神科医で、ジョーカーの担当になり、次第に彼に感化され闇に堕ちた、という背景を持っていました。つまり、医者と患者の関係で彼女はジョーカーに出会うわけです。しかしこの特報をみる限り、2人は同じ収監者同士ですね。そしてハーレイが言う「ここから出ましょう」。これは、アーカムからの脱走を意味しているかもしれません。

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