『パスト ライブス/再会』幼なじみ2人の視線に胸が締め付けられる 全てが絵になる映像美

『パスト ライブス/再会』は“視線”の映画

 本作が長編映画監督デビュー作となったセリーヌ・ソンは、1988年生まれの現在36歳。ノラとヘソンと同い年だ。これを書いている私も現在36歳、どうりでグッとくるわけだ……。それはともかく、初恋相手に限らず、昔よく遊んだ友達や同級生、そこまで仲良くなかったけど気になる存在だった人の顔がふと思い浮かぶことがある。いまは何をしているんだろうかと、ネットで名前を検索してみる。多くの人がそういう経験をしたことがあると思うが、実際に会うまで行く人はなかなかいないのではないだろうか。ましてやすでに結婚相手がいるノラのような立場の場合は。そういう意味ではリアリティに欠けるのだが、ノラとヘソンの感情には共感しかない(ノラの夫アーサーにも)。

 ほぼ3人の登場人物だけで物語が進行するこの作品の要と言えるのが、ニューヨークやソウルの街並み。どこを切り取っても絵になる撮影は格別で、まるで行ったことのないニューヨークに行った気になってしまうほど。

 それでもいつか、ノラとヘソンが巡ったニューヨークを訪れ、2人が過ごした日々に思いを馳せてみたい。

■公開情報
『パスト ライブス/再会』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
監督・脚本:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、KDDI
配給:ハピネットファントム・スタジオ
106分/2023年/アメリカ・韓国/カラー/ビスタ/5.1ch/英語、韓国語/字幕翻訳:松浦美奈/原題:Past Lives/G
Copyright 2022 ©Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
公式サイト:https://happinet-phantom.com/pastlives 
公式X(旧Twitter):@pastlives_jp

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