森田望智は『虎に翼』の“空気”を変えた “したたかに生きる”花江の強さを体現

森田望智が『虎に翼』で体現する“女性像”

 初登場時からふわふわしている人物だと思っていたが、じつはなかなかの策士なのである。寅子や直道の母・猪爪はる(石田ゆり子)にぶりぶり取り入ろうとするなど、彼女はごく自然とやってのけるのだ。シーンの流れの中で変化する花江のキャラクター。これを森田はとても柔軟に体現している。各シーンごとにおける自身のポジションを、正確に把握しているのだろう。

 
 そして花江の“真意”が分かった以上、これからの彼女の寅子に対する言動に期待せずにいられない。先述した一言を花江が口にした瞬間、空気が変わった気がしたのは私だけだろうか。いや、気のせいなのかもしれない。が、森田のセリフの調子には、たしかに空気を変える何かがあった。花江のコアがのぞいた瞬間でもある。あの“何か”が今後の展開の中で見えてくるのではないだろうか。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 虎に翼 Part1』(NHK出版)にて森田は花江について「これまで演じてきた役の中でもいちばん自分に近いかもしれません。一見柔らかい印象ですが、意志が強く頑固で、自分に素直に生きている。(中略)プロデューサーや監督からは、花江は家庭に生きる女性の代表であり、働く女性だけが偉いわけではないと示す存在だとお聞きしています。ですから最終的には、どの女性の生き方も尊いと自信を持って言えるように、花江を生きていきたいと思います」と語っている。

 
 間もなく配信が開始されるNetflix映画『シティーハンター』では主人公の相棒を演じている森田。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ系)で主人公の良き相談相手を好演していたことも記憶に新しい。『虎に翼』でも寅子の親友から相棒へとなっていきそうな予感がある。“森田望智=花江”は寅子を、ひいては女性たちをエンパワーメントしていくような存在になるのではないだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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