『ブギウギ』趣里×草彅剛が築き上げた深い絆 最終週で明かされたタイトルバックの真意

『ブギウギ』タイトルバックの真意が明らかに

 スズ子によると「先生とワテは人形遣いと人形みたいな関係」である。もともと羽鳥にとって「歌い手は歌の一部」であり、自らの音楽を具現化する声だった。誤解のないように言うと、決して道具と思っていたわけではないだろう。スズ子がいたことで生まれた曲も多くあり、羽鳥にとってのスズ子はインスピレーションをくれる存在である。

 ではスズ子自身はどうだったかというと、人形でよいのだと言いきる。「ワテはいつまでも先生の最高の人形でおりたかったんです」は作曲家冥利に尽きる言葉だが、スズ子と羽鳥にしかわからない二人の世界があって、創造に携わる人間の呼吸と言い換えられる。タイトルバックの人形はスズ子と羽鳥の関係を示していた。

 羽鳥に見出されたスズ子は、歌手としての才能を開花させてからは、互いを導き手として前人未踏の領域を切り拓いてきた。もし、スズ子がりつ子のような独自の個性によって立つ歌い手だったら、ブギは一時的なブームになっても「東京ブギウギ」のように時代を超える普遍性を獲得することはなかったのではないか。

 人形に魂を吹き込むのは人形遣いで、人は人形遣いの操演を見て人形に心を感じる。魂を吹き込まれた人形が思いを口にするとき、それは自分を輝かせてくれた人形遣いへの感謝だった。そのことを一面的な幸不幸や、利用、支配という次元で断じることはできない。誰よりも音楽を愛する羽鳥とスズ子だったから、ブギは「心のうた」として鳴り響いたのである。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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