町田啓太、『光る君へ』“父”橋爪淳は「美しいくらい優しい」 尊敬し合う関係の“親子”に
吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第12回「思いの果て」の放送後には、藤原頼忠役の橋爪淳、藤原公任役の町田啓太、そしてさわ役の野村麻純が登場した。
第12回では、まひろ(吉高由里子)と決別した道長(柄本佑)がかねてから持ち上がっていた倫子(黒木華)との縁談を進めるよう兼家(段田安則)に話した。劇中、道長が集中して漢詩を学ぶ姿を見て、公任は焦りの表情を見せる。道長が地位を得るために研鑽を積んでいるのは、まひろが望む世を目指しているからなのだが、内裏でも先頭を切って出世していくつもりだった公任にとって、道長の変化は脅威に感じられたようだ。藤原家の力が今後ますます強くなっていくと見る公任に対し、父・頼忠は「太政大臣を辞める」と口にする。
頼忠を演じる橋爪は、脚本家の大石静から「とにかく声が小さい人」とオーダーされたと話した。橋爪はそのオーダーから頼忠の人物像を深く掘り下げていく中で、「自信がなかったり、それから人の前に出るというようなことがあまり好きではない、ちょっと内向的な性格」「どちらかといったら政治や政権っていうことよりも、花鳥風月のほうに興味がある人間ではないか」と捉えて演じてきたと語る。
頼忠が息子・公任に「頼んだぞ」と託す場面について、橋爪は「私が太政大臣をやめるということは、自分の死というものをどこかで実感しているので、私が死んだあと、いつまでも私のことを頼りにしているようではダメだぞ」「もうちょっと強くなりなさい」と思いながら台詞を発したと明かした。息子たちに家の繁栄を託し、政権争いを楽しむかのような兼家とは対照的に、頼忠は未来を息子に委ね、政治の座から自ら遠ざかる。頼忠特有の奥ゆかしさは、橋爪の演技あってこそだと感じられた。
一方、公任を演じる町田は、公任と頼忠の関係について「公任はすごく尊敬しているというか、やっぱり仕事はすごくできる人だし、とてもたぶん愛情深い人だと思うし、公任もその愛情を受けて育っていると思うので、人から父がどう見られているかなんて特に関係ない」「自慢のというか尊敬している父だったんじゃないかなと思います」と答えている。
橋爪と町田のインタビューで印象に残るのは、役者としてお互い尊敬し合うさまが垣間見えることだ。橋爪はインタビュー内で、公任を演じる町田の言葉に感銘を受けたことを和やかに語っていた。町田もまた「(橋爪の)持っている雰囲気が本当に美しいくらい優しいのでもう大好きですね」「橋爪さんが演じられているとくるものがすごくあります」と語っている。公任と頼忠の穏やかな親子関係は、演じている町田と橋爪がお互いを尊敬し合う姿勢から生まれたものといえる。
SNSでは「美しい父子でありました」「お二人の持つ麗しく優しい雰囲気が似ていて納得の父子でした」といった声や、「橋爪淳さんの『声が小さい人』のオーダーからの役への解釈も流石だけど、お芝居しながら公任の未来を想像するって、いやもう本当すごいよ」「公任さまが父上を尊敬していることがものすごく伝わってきた」など、2人の演技に感銘を受けた視聴者の声があがっている。
また町田はインタビューにて、橋爪との共演について「もっとやりたかったですね、欲を言うならば」と言っていたが、SNSでは 「欲を言えばもっと親子のシーンを拝見したかった」「視聴者としてもお二人のシーンもっと拝見したかったです」などの声もあがっており、印象的だった。
公任はこの先どのように政治の世界を歩んでいくのか、町田の今後の演技に期待が高まる。
■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK