『大奥』“定信”宮舘涼太が見せた2つの顔 “お知保”森川葵は苦しみからようやく解放される
一方、倫子は我が子を追い、自ら命を絶とうとしたお知保を救う。千代姫を亡くし、失いかけていた人を思う心を思い出させてくれた家基。その息吹がお知保にも感じると懸命に訴えかけた倫子。お知保は彼女の言葉で己を立て直すと同時に、どんなに願っても家治の心を手に入れることができない苦しみからようやく解放される。「上様はどんなときも御台様だけを愛しておられました」と倫子に語りかける彼女は今までで一番美しかった。
最初は冷たい人だと思っていた家治の思いやりに触れ、どんどん惹かれていった倫子。だが、心が通じ合ったと思った矢先にお品を側室とした家治のことが彼女はわからなくなっていた。そんな中、定信からの告白に揺れる気持ちもあったのだろう。しかし、お知保の言葉を受け、倫子は「子を愛し、私を愛してくださったあなたさまを信じます」と改めて家治に信頼を示す。
すると、張り詰めた糸が解けるように涙を流す家治。気丈に振る舞ってはいた家治だったが、千代姫も家基も亡くし、本当は母親が愛人との間に作った子であるにもかかわらず、将軍家の子として多くの人を欺いてきたせいだと自分を責めていたのだ。そんな時に倫子から自分を信じると言われ、家治はこれ以上、嘘を重ねることはできないと思ったのだろう。ついに、これまで田沼(安田顕)に逆らえなかった理由を倫子に明かす。
人間とは複雑な生き物だ。他人の悲しみや苦しみに心を痛める一方で、欲深く、保身のために誰かを傷つけてしまうこともある。やがて人の痛みに鈍感になり、鬼と化してしまうことも。そうなった時に人の心を取り戻させてくれるのは、誰かから寄せられる信頼の気持ちなのかもしれない。あなたを信じているーーそんな眼差しの前で人は間違いを起こせぬものだ。
定信が見せる2つの顔はきっと、どちらも真実なのだろう。貧富の差が開くこの国を変えたいという気持ちに嘘偽りはない。だが、今の定信は家治への嫉妬や恨みに取り憑かれ、真の目的を見失っているように見える。だから猿吉はきっと最後の賭けに出たのだ。「それがしが一番尊敬し、お慕いしていたのは定信様です」と訴えかけることで本来の定信に戻ってくれるかもしれないと。けれど、定信は冷静さを欠いた。猿吉のまっすぐな思いを受け取ることができず、自分を信じてくれている人間を失ってしまった定信。もはや彼の暴走する正義にブレーキは効かない。次週より最終章へと突入する本作。家治と定信の直接対決は見ものだが、実際のところ、彼らが目指すところは同じなのである。
■放送情報
木曜劇場『大奥』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:小芝風花、亀梨和也、西野七瀬、森川葵、宮舘涼太、栗山千明、安田顕ほか
脚本:大北はるか
企画:安永英樹
プロデュース:和佐野健一、清家優輝、出井龍之介、庄島智之
演出:兼﨑涼介、林徹、二宮崇、柏木宏紀
音楽:桶狭間ありさ
制作協力:ファインエンターテインメント
制作著作:フジテレビジョン、東映
©︎フジテレビ
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