『さよならマエストロ』若き日の俊平と音楽の出会い 明かされたアパッシオナートな原点

『さよならマエストロ』明かされた俊平の原点

 俊平が口にする「アパッシオナート(情熱的に)」と「ボッカ・ルーポ(オオカミの口へ飛び込め)」は恩師シュナイダーから贈られたもので、一歩踏み出したことで俊平の人生は一変した。俊平自身がアパッシオナートに、また勇気をもって道を切り開いたからこそ、周囲に対しても、その人の可能性を信じられるのだと思う。

さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~

 若き俊平と同じように、夢と現実の狭間で悩んでいるのが天音(當真あみ)だ。天音は、父で市長の白石(淵上泰史)から音楽をやめるように言われてしまう。俊平のスピーチは自分自身に語りかけるようで、天音はもう一度自分を信じようと決める。反対する父の前で練習の成果を見せ、指揮者になると宣言する一連のシーンは目を逸らすことができなかった。幼少時からバイオリンを習った當真あみは、魂を震わせる演技で観るもの全ての感情に訴えかけた。

さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~

 柄本明も、無愛想な頑固親父そのものだった行彦が、俊平と別れるシーンで「もう帰ってくるな。しっかりやれ!」とありったけの愛情を込めてぶつけるシーンは、30年という時間の重みと親子の絆の深さを感じさせる名優の真骨頂だった。それを受け止める西島秀俊も含めて、ワンカットに込められた演技の密度と演者の底力に圧倒された。

■放送情報
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:西島秀俊、芦田愛菜、宮沢氷魚、新木優子、當真あみ、佐藤緋美、久間田琳加、大西利空、石田ゆり子、淵上泰史、津田寛治、満島真之介、玉山鉄二、西田敏行
脚本:大島里美
音楽:菅野祐悟
主題歌:アイナ・ジ・エンド「宝者」(avex trax)
撮影監督:神田創
音楽監修:広上淳一(東京音楽大学)
全面協力:東京音楽大学
企画プロデュース:東仲恵吾
プロデュース:益田千愛
演出:坪井敏雄、富田和成、石井康晴
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sayonaramaestro_tbs/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる