『光る君へ』ファーストサマーウイカの“自信”は清少納言にピッタリ “視線”の巧みな演出も

ファーストサマーウイカが『光る君へ』に君臨

 まひろとききょうがいない場で、「元輔殿の息女、ああいうのも悪くないな」「あのようにしゃしゃり出る女子は好かぬ」「あのこざかしげな感じ、鼻をへし折ってやりたくならぬか?」と言いたい放題な斉信と公任には笑ってしまうが、ききょうの自信に満ちた言動とききょう特有のお茶目さは、誰の目にも強い印象を残したに違いない。まひろだけは道長に気もそぞろで、ききょうの印象が強く残らなかったかもしれない。だが、自分とは違う視点で物事を捉え、目の前の出来事を素直に楽しむききょうの姿は、今後のまひろに大きな影響を与えることだろう。

『光る君へ』第6話

 第6回では、物語終盤の道長の行動が次回以降の物語を大きく動かすきっかけとなったように思う。大内裏の警護をしていた道長は逃げ出す盗賊に向かって矢を射る。道長が放った矢は盗賊の一人の腕に当たった。矢を受けたのが町辻で風刺劇を披露する散楽一座の直秀(毎熊克哉)だったことに、道長は気づいていない。まひろと道長の再会を導いた直秀との関係にどのような変化が生じるのかが気になる。

 また、道長はまひろに文を送る。

「ちはやぶる神の斎垣(いがき)も越えぬべし恋しき人のみまく欲しさに」

『光る君へ』第6話

 まひろへの恋心を詠んだ和歌である。漢詩の会では言葉を交わさなかったものの、視線を送り合っていたまひろと道長。まひろを演じる吉高と道長を演じる柄本が目で見せる演技には、2人の繊細な心情変化、恋による心の揺れ動きが表れているが、とうとうその恋心がはっきりと言葉に表れた。愛おしげに文を胸に抱くまひろの姿に胸が熱くなる。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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