『ブギウギ』『わろてんか』『カムカムエヴリバディ』など、朝ドラで描かれた恋人との死別

『ブギウギ』朝ドラで描かれた恋人との死別

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第18週となる「あんたと一緒に生きるで」が放送された。スズ子(趣里)には待望の赤ちゃんが誕生する。おめでたい知らせに一同は顔をほころばせるが、同時に悲しい知らせも舞い込んだ。愛助(水上恒司)がスズ子の出産と時を同じくして、大阪で帰らぬ人となってしまったのだ。数日後、スズ子はやっと愛助の死を知ることになる。ショックのあまり呆然とするスズ子だが、愛助の望み通り赤ちゃんに愛子と名付け、歩み続ける決心をするのだった。

 あまりに痛ましい展開に朝から涙したという視聴者も多かっただろう。不安な気持ちを押し殺して「ジャズカルメン」を成功させ、一人きりでお産に立ち向かう。そしてかわいい赤ちゃんを産んだスズ子。一方の愛助も病状の悪化をあえて知らせず、スズ子が伸び伸びと舞台に尽力し、出産に備えられるよう配慮し続けた。相手を思い遣るがゆえの2人の努力が、結果として2人が二度と会えないまま死別するというすれ違いに発展したことに胸が痛む。だが、スズ子が愛助の病状を知らされたとしたら果たしていい舞台を作り、元気な赤ちゃんを産めただろうか。愛助の優しさは決して無駄ではなかったどころか、愛助自身が一番大切に守りたかった“スズ子の活躍”と“元気な赤ちゃんの誕生”に繋がったのだ。

松坂桃李、最期の言葉に視聴者涙 『わろてんか』藤吉の死を経てラストスパートへ

てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は二人三脚で共に歩みを進め、北村笑店を大阪一の笑いの殿堂へと押し上げた。てんはご寮さんとして商…

 朝ドラ『わろてんか』では、ヒロイン・てん(葵わかな)と共に寄席興行会社「北村笑店」を経営してきた藤吉(松坂桃李)が脳卒中で息を引き取る。第18週で恋人と死別した『ブギウギ』とほぼ同時期である第17週にこの展開は描かれており、その後はてんが夫の死を乗り越えて、「北村笑店」を日本最大の寄席チェーンにまで成長させ逞しく生き抜く姿を描いた。また、『あさが来た』では、終盤にヒロイン・あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)夫婦の死別が描かれた。だが最終回には、“あさと新次郎の再会”という粋な演出が用意され大きな反響を呼ぶことに。

『カムカムエヴリバディ』無音演出が突きつけた安子の心情 あまりに辛い「稔さん」の叫び

「ご無事で帰ってきてください」 「きっと帰ってくる。必ず帰ってくるから。大丈夫じゃ」  『カムカムエヴリバディ』(NHK…

 近年の作品で特に印象的だったのは、『カムカムエヴリバディ』の初代ヒロイン・安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)の死別だ。稔の場合は戦死であったため、安子は稔の最期に立ち会うことができなかった。そうした点では、最期を看取れなかったスズ子と通ずる苦しみがあっただろう。稔はその後、二代目ヒロイン・るい(深津絵里)が終戦記念日に神社を訪れた際に再登場し、多くの視聴者の涙と感動を集めた。

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