『相棒』寺脇康文×鈴木砂羽“亀山夫妻”らしい愛の形にほっこり モト冬樹の熱演が光る

『相棒』“亀山夫妻”らしい愛の形

 今回の事件の犯人には、「戸倉の妻の失踪事件を蒸し返されたくない」という動機とも思える、強い意思があるようだ。そうなると、妻の失踪には戸倉が直接関わっているのではと疑うのは当然のことである。右京たちが戸倉にそれを問うと彼は「全然何もわかってない」と声を荒げた。戸倉によれば妻が出て行ったのは、戸倉が暴力を奮っていたからでも、別に男ができたからでもない。実は、彼女は自殺したがっていたのだという。戸倉はそれを知りつつ、「遺体が出なければ真実ではない」と見て見ぬふりをしてきたのだ。最近、余命がいくばくもないことを知らされた戸倉は、死ぬまで妻を探す男でいたかったのだろう。妻の選択にも戸倉の選択にも悪意はないけれど少しずつ少しずつ間違いがあった。「そっとしておいてくれればよかったのに」と戸倉はポツリとつぶやいたが、歪んでしまったものを「そっとできなかった」カフェ店員が犠牲になってしまったのは、身勝手としか言いようがない。

 冒頭のメッセージは戸倉が妻の姿を描いたキャンバスの下に残されていたのだが、つまりは「命は断ってしまったけれども それでもあなたへの愛は変わりません どうかお元気で」という“ラブレター”だったのだ。右京からのメッセージの真の意味を知らされて、泣き崩れる戸倉の姿に胸が痛んでしまった。少しでも道が違えば、今でも幸せに2人で食卓を囲めていたかもしれないのだ。そう思うと、やるせない気持ちになる。

 さて、残る謎は、美和子に送られてきていた匿名の“ラブレター”。なんと送っていたのは夫の亀山本人だった。どうやらサプライズのつもりだったらしいのだが、浮かれている美和子の姿に、嫉妬を覚えてしまったらしい。自分でも自分の感情がよく分からなくなって混乱し、言うに言えなかった亀山の様子はなんだかかわいらしかった。もっと驚いたのは、それを美和子が見抜いていたこと。なんでも、夫が真相を語るのを楽しみにからかいながら待っていたのだとか。なんとも“亀山夫妻”らしい事の終わりに、どうぞ末長くお幸せにと思わずにはいられなかった。

 たくさんの恋文が出てきた今回。特命係の部屋に1人残っていた右京は、静かに手紙をしたためていた。右京が心を許した人といえばあの女性である。誰宛なのかが気になったならば、ぜひ放送で確認してほしい。

■放送情報
『相棒 season22』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00〜放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西 惇、田中隆三、松嶋亮太、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二、美村里江、新納慎也、真飛聖ほか
脚本:輿水泰弘
監督:権野元
制作:テレビ朝日/東映
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式X(旧Twitter):@AibouNow
公式Instagram:@aibou_official

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