『哀れなるものたち』撮影監督が語る特別映像 コダックが35ミリ“ポジ”フィルムを特別提供
1月26日に公開される映画『哀れなるものたち』より、撮影監督を務めたロビー・ライアンの特別映像が公開された。
本作は、日本でも2008年に翻訳された、スコットランドの作家アラスター・グレイのゴシック奇譚『哀れなるものたち』(早川書房刊)を映画化した、『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督最新作。第81回ゴールデングローブ賞では作品賞と主演女優賞の2部門を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞をはじめとする11部門にノミネートされた。
風変わりな天才外科医ゴドウィン・バクスターの手によって死から蘇った若き女性ベラが、世界を知るために大陸横断の冒険の旅へ出る。時代の偏見から解き放たれたベラは、平等と解放を知り、驚くべき成長を遂げていく。
主人公のベラを演じるのは、第96回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたストーン。本作ではプロデューサーも兼任している。また、天才外科医のゴドウィン・バクスターをウィレム・デフォー、ベラと共に大陸横断の冒険の旅に出るダンカンをマーク・ラファロが演じている。
公開された特別映像は、立体感のある美麗な色彩感で彩られた世界を創出するために採用されたコダックの35ミリフィルムについてフィーチャーしたもの。ランティモス監督が「映画の構想を練る時、私が重視するのはキャラクターの住む世界を作り上げることです。本作ではスタッフも役者もベラの視点を持つことがとても重要でした」と語るように、痛ましい過去を経て“生まれたての女性”として蘇生し、好奇心と欲望のままに全てを吸収していこう とする主人公・ベラ(エマ・ストーン)の目に映るモノ全ての細かいニュアンスまで丁寧に表現することが本作を撮影するにあたり不可欠であったという。
そのため、撮影監督を務めるライアンは世界で初めてロールフィルムおよびカラーフィルムを発売したイーストマン・コダック社が、本作のために特別に用意した35mm映画用エクタクロームを使用して撮影に臨んだという。エクタクロームは粒状性と色再現性に優れたリバーサル(ポジ)フィルムで、ファッションから風景まであらゆる撮影シーンや被写体で特性を発揮し、奥行きの深い立体感溢れる鮮明さを再現することで知られている。結果、本作はまるで絵本の中にいるかのようなファンタジックな世界観を再現することに成功している。
『女王陛下のお気に入り』に続き本作でもアカデミー賞撮影賞にノミネートされたライアンは、ランティモスの撮影について「ヨルゴスの映画作りは独特です。彼が本作でこだわったのはコダックのエクタクロームを使うこと。35ミリのリバーサルフィルム。優秀なフィルムです。コダックが映画用に再生産を始めたエクタクロームの種類は16ミリだけでしたが、コダックは本作のため特別に35ミリを作ってくれた。だからモノクロにする場面やカラーにする場面を選び、そのあとでエクタクロームで撮るシーンを決めるだけでよかった。屋外の場面は深い黒を際立たせるためエクタクロームで撮りました。万華鏡のようにカラフルでコントラストが映えるから現実を押し広げられた。それこそが本作の核です」と話し、コダックが本作のために35ミリロールフィルムを作ったという貴重なエピソードとともに、本作の世界観の中枢について明かした。
■公開情報
『哀れなるものたち』
1月26日(金)公開
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフほか
原作:『哀れなるものたち』(早川書房刊)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
2023年/イギリス/原題:PoorThings
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