『ブギウギ』市川実和子演じる麻里が初めてぶつけた不満 誰もが納得の帰着点はあるのか

『ブギウギ』麻里が初めてぶつけた不満

 しかし、スズ子の心は歌手をやめる方向に傾いていく。トミが夫である先代の社長といかに会社を大きくしてきたか、という話を坂口から聞いたからだ。坂口いわく、村山興業には“家族的なまとまり”があるという。芸人が何か悪さをすれば、先代が叱りつけ、客の笑いが取れず落ち込んでいる芸人がいれば、トミが優しく励ます。そうやって2人が他の社員とともに芸人たちを単なる会社の商品ではなく、子供のように面倒を見て、大切に大切に育ててきたからこそ、たくさんの芸人たちが才能を開花させて、村山興業は日本随一の演芸会社として成長を遂げたのだろう。そこにもスズ子の原点・はな湯の“義理と人情”の精神があり、坂口の話が彼女の心に刺さるのも分かる気がした。

左から、坂口(黒田有)、村山愛助(水上恒司)、福来スズ子(趣里)

 だけど果たして、村山興業にはトミのような母親的存在が必要だからといって、スズ子が幼い頃からの夢だった歌手をやめてまで、その役割を背負う必然性はあるのか。愛助がトミの言い分に納得できない理由と、マリがもやもやする理由は共通している。何より愛助はスズ子の大ファンだから、彼女に歌手をやめてほしくない。平行線を辿るこの問題に誰もが納得しうる帰着点はあるのか。再び雲行きが怪しくなってきた。愛助のゴホゴホという咳が私たちの不安を増長させる。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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