MCU、フェーズ5は中心人物がいない異常事態に 『デッドプール3』が重要な役割を担う?
「ヤング・アベンジャーズ」への布石
ーー『マーベルズ』の最後で「ヤング・アベンジャーズ」が組まれる可能性が示唆されていましたが、そこでまたミクロな世界観に戻ってくる期待が持てますね。
光岡:そうですね。やはり若い主人公じゃないと若い観客に響かないし。
杉山:原作ではあそこにアントマンの娘のキャシーが入ってきて、あとはシュリとアイアンハート、アメリカ・チャベスもいますね。2代目ブラック・ウィドウの年があの子たち寄りなのか大人なのかが若干わからないけど(笑)。まだ男の子がいないですね、あのチームは。
光岡:まあ、いくらでも入れられますね。しかしすぐに映画を作らないと“ヤング”じゃなくなっちゃうからなあ。
杉山:すごくそう思います。ケイト・ビショップも大人になっちゃうし、キャシーちゃんも妖艶になってしまったらな……って。
光岡:だから本当なら2024年中にはやってほしいですよね。
杉山:まだアイアンハートの単体作品も残っていますからね。
光岡:これから『シークレット・ウォーズ』をやるわけじゃないですか。ヒーロー同士でやむを得ずバトルする展開になるから、そこにヤングチームを入れてもいいんだけど、さまざまなヒーローチームが現れる中でヤング・アベンジャーズを出すと霞んじゃう気がします。出すなら彼らをメインストーリーにしてほしいけど、今の展開がそういう流れになっていないから、本当にどうなるんだろう……。
杉山:マーベル自身もまだまだ手をつけなきゃいけないヒーローやヴィランが多いですよね。『ファンタスティック・フォー』もやらなきゃいけないし。
光岡:そうですよ。いっぱいですよね。まあX-MENは『シークレット・ウォーズ』でデビューするのかなと思います。ただ、『マーベルズ』のラストにビースト役のケルシー・グラマーが出たじゃないですか。嬉しかったけど、やはり『ワンダヴィジョン』の時にやってくれていないとタイミングが遅いというか……。あの時にエヴァン・ピーターズが出演したものの、結局その正体はクイックシルバーじゃなかったという展開があったじゃないですか。あれで少しすかされちゃったので、今回の嬉しさも減ってしまいました。
杉山:あと、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でもパトリック・スチュワートが出ていますからね。
光岡:そうですね。既にちょいちょいX-MENが出てきているから、その分「ついに!」という感動が薄れたと思います。
杉山:元の作品のキャストをどの程度活かすつもりなんですかね? トビー・マグワイアが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に出てしまったことを考えると、もうなんでもありになっちゃう感じがします。
光岡:なんでもありになったから、今スタジオがすごいアイデアを練ってくれているんじゃないかと思います。ケヴィン・ファイギって、もともと旧『X-MEN』の時からプロデューサーとして参加しているわけじゃないですか。だから旧作に思い入れがすごくあるのか、それとも「今回は違う作風でやりたい」と思っているのかわからない。そのどちらかによって、この先の展開は全然違ってきますよね。『X-MEN』を再構築するのか、旧作を引き継ぐのか。
杉山:ライアン・レイノルズ主演の『デッドプール』って、これからのMCUにX-MENを出す装置でもあるし、今あえて言えば停滞気味になっているMCUの活性化にもなるから、『デッドプール3』が結構重要な映画になってしまいましたね。ファンを楽しませるような映画だと思ったけど、結構重要なパーツになってしまったというのが正直な印象です。
光岡:ディズニーと20世紀フォックスを繋ぐ作品にもなりますしね。デッドプールは「この先なんでもありだな」という印象を観客に与えて浸透させる役割にぴったりだと思います。。
『シークレット・ウォーズ』の中心人物は誰になる?
ーー『アベンジャーズ』シリーズ第6弾『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』の中心人物は誰になるのでしょうか?
杉山:今回映画化される『シークレット・ウォーズ』って新しいほう(2015年版)ですよね?
光岡:どうなんでしょう。私は古いほう(1984年版)だと思い込んでいました。
杉山:スパイダーマンがブラックスーツを着るほうですか?
光岡:そうです。最初にルッソ兄弟が「(監督作は)もう『アベンジャーズ/エンドゲーム』で終わったけど、やるんだったら『シークレット・ウォーズ』だね」と発言していた時は1984年版のことを言っていたので、そのまま話が進んでいるかと思っていました。今はどうなっているんだろう?
杉山:ただ、中心人物としてロキはすごい重要な役になったなと思います。
光岡:そうですね。『マイティ・ソー』で初登場した時からは考えられないような展開になりました。
杉山:あの人、今一応マルチバースを守っているんですもんね?
光岡:トム・ヒドルストンさんも「とても感慨深い」と話していました。
杉山:『ロキ』シーズン2を観て、「ああ、ロキがここまでになったんだなあ」と思いましたよね。
光岡:本当にファンが育てたキャラですよね。
杉山:トム・ヒドルストンが演じてなかったら、ここまでになっていないと思います。
光岡:今、彼がマルチバースの中心になっていますよね。
杉山:だから彼が『シークレット・ウォーズ』の中心になるのかなって。あとは、今後ファンタスティック・フォーがどこまでしゃしゃり出るのかというところですかね。
光岡:ファンタスティック・フォーも、どんな感じで物語に入ってくるんでしょう。
杉山:別バースから来るとか、キャプテン・アメリカみたいに実は行方不明になっていた……という設定になる噂もあります。
光岡:ああ、宇宙に行っていたって設定にすれば全然あり得ますよね。
杉山:だいたいニック・フューリーがファイルを持っていたらなんでも途中から入れられますからね。ちなみに僕、『シークレット・インベージョン』のエミリア・クラークが今、最強のキャラクターなんじゃないかと思っていて、彼女も物語に関わってくるんじゃないかと期待しています。全ての超人パワーを持っていますからね(笑)。
光岡:一体、誰が中心になるのかな?
杉山:ケヴィン・ファイギさん的に、一番人気が出ている人でしょうね。
光岡:そっか、そうなるとやはりロキになるってことか。『アベンジャーズ/エンドゲーム』を終えてしばらくやってきましたけど、今になってもシリーズの中心を担う人が出てきていないというのは事実としてあるんですよね。不思議なのが、MCUの始まりはアイアンマンとキャプテン・アメリカとソーの御三家、つまり中心になるキャラクターをまず出していたんです。それがないっていうのがね……。でもこれが現代なのかもしれない。“特定の誰かが中心”とかじゃないんだよ、みたいな。
杉山:なるほどね。本当に群像劇になるかもしれないですね。
光岡:そう、各々がそれぞれの人生を生きているだけだよって。ただ話の流れでこうなっちゃっただけかもしれないけど、世相を反映しているのかもしれないですね。ただ、これだけ大きなファンチャイズで中心になるキャラクターが不在な現状は、異常といえば異常ですよね。
杉山:そうですね、本当にそれはある。どうなっていくんだろうなあ。