『デッドプール3』は“異色”の“移植”映画に 20世紀フォックス版とMCUのキャストが競演!?

『デッドプール3』は“異色”の“移植”映画

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今日は期待のマーベル映画『デッドプール3』。ここにきていろいろな情報や噂が流れて来たので、まとめてレポートいたします。なお、やや核心にふれる部分もありますので、公開まで何も情報を入れたくないという方はご注意ください。

20世紀フォックスからMCUへの“異色”の“移植”映画

 2024年5月3日公開予定の『デッドプール3(原題)』。ただし、例のハリウッドの俳優ストライキで現在撮影が中断しており、この公開日程は延期される可能性があります。

 ライアン・レイノルズ出演のデッドプール映画第3弾で、前2作までは20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)のマーベル映画でしたが、この3作目はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の1つとして作られます。後で詳しく書きますが、これは非常に珍しいケースです。例えばスパイダーマンもMCUに組み込まれるにあたって、アンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンを一旦打ち切って、トム・ホランド版のMCU版スパイダーマンに移行したし、この先MCU版『ファンタスティック・フォー』が作られる予定ですが、これも20世紀フォックス版の続きではなく、新キャスト&新設定となるはずです。

 つまり、MCUとして新たなデッドプール作品を作ってもまったくおかしくないわけですが、あえて20世紀フォックス版の“続き”なんですね。それはやはり、デッドプール=ライアン・レイノルズがあまりにハマり役で、またファンからも支持されていますから変える必要がなかったのでしょう。

20世紀フォックス版マーベル・ユニバースをおさらい

 『デッドプール3』についてのお話をする前に、ちょっとここで今までの経緯をおさらいします。これを知っていたほうが、今回の『デッドプール3』がとんでもないことになりそうだ、というのがわかっていただけるかと思います。なお、現在「20世紀フォックス」は「20世紀スタジオ」ですが、この記事では「20世紀フォックス」表記の方がわかりやすいので、“旧姓”を使わせていただきます。

 マーベルは自社の映画部門であるマーベル・スタジオを立ち上げる前に、コミックのヒーローたちの映画化権を複数の映画会社に渡していました。ブレイドはニュー・ライン・シネマ、スパイダーマンはソニー・ピクチャーズ、そしてX-MEN(デッドプール含む)、ファンタスティク・フォー、デアデビル(エレクトラ含む)は20世紀フォックスです。

 だから、マーベル・スタジオが立ち上がり、MCUをスタートさせたときは上記のヒーローたちをMCUに登場させることは出来なかったのです。その後、マーベルはいくつかのキャラの映画化権を取り戻し、かつスパイダーマンはソニー・ピクチャーズに籍をおきつつ、MCUにも登場できるという契約を双方が結んだので、スパイダーマンのアベンジャーズ入りは可能になりました。

 20世紀フォックスもデアデビル系の権利はマーベルに返したので、マーベル主導のチャーリー・コックス版デアデビルのドラマ・シリーズが作られました。けれど、X-MEN(デッドプール含む)、ファンタスティク・フォーについては20世紀フォックス側は映画化権をキープ。さらに、ソニーのスパイダーマンみたいな座組をMCU側としなかったので、MCUとは関係ない形で20世紀フォックス版X-MEN映画やデッドプール映画が作られ続けたのです。

 MCUのスタートを2008年の『アイアンマン』からとすると、MCU以前の20世紀フォックス版マーベル映画は、『X-メン』(2000年/1作目のみ“メン”表記)、『デアデビル』(2003年)、『X-MEN2』(2003年)、『エレクトラ』(2005年)、『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』(2005年)、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006年)、『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007年)。

 MCU以降の20世紀フォックス版マーベル映画は、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)、『ファンタスティク・フォー』(2015年)、『デッドプール』(2016年)、『X-MEN:アポカリプス』(2016年)、『ローガン』(2017年)、『デッドプール2』(2018年)、『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年)、『ニュー・ミュータント』(2020年)となります。

 しかし、ここでちょっとした“事件”が起こります。20世紀フォックスがディズニー傘下になったのです。ディズニーはマーベルの親会社でもあり、一連のMCU映画を手掛けています。ということは、ファンタスティク・フォー、X-MEN、デッドプールの映画化権は再びマーベルに戻り、20世紀フォックス版を全面リセットしてMCU版ファンタスティク・フォー、X-MENが作られる土壌ができたわけですね。というわけで、MCUはその準備をしているわけですが、(繰り返しになりますが)デッドプールだけは20世紀フォックス版の続き、という特例が認められたわけです。

 『ニュー・ミュータント』は20世紀フォックス時代に作られましたが、リリース寸前でディズニーに吸収されたので、ディズニー配給のX-MEN映画は、この『ニュー・ミュータント』が一発目となります。コロナ事情で配信でしたが。

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