北米映画市場が“復活”した2023年 映画『スーパーマリオ』のユニバーサルがディズニー超え
2023年の北米映画市場は「復活」の年となった。1年間の累計興行収入が、コロナ禍以降初めて90億ドルを突破し、前年(2022年)の75億ドルを20%上回ったのだ。
ハリウッドが全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のWストライキで一時停止し、長らく市場を盛り上げてきたスーパーヒーロー映画の低調ぶりが語られる中、これは思わぬ達成だ。コロナ禍以前は例年100億~110億ドルだったことを考えれば、完全回復にはまだ遠い(配信ビジネス時代にそれが可能なのかもわからない)が、大きな前進と言うべきだろう。
とりわけ大きな要因というべきは、グレタ・ガーウィグ監督『バービー』とクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』の大ヒット、すなわち「バーベンハイマー(Barbenheimer)」現象だ。前者は年間No.1ヒット作となり、北米興収6億3622万ドルを記録。後者はR指定×上映時間3時間の伝記映画としては空前の人気を得て、年間第5位、北米興収は3億2609万ドルとなった。
現地でも驚きをもって受け止められたのが、年間第2位『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の5億7493万ドル。『オッペンハイマー』と本作を配給したユニバーサル・ピクチャーズは、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』や『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』なども手がけており、1年間で19億4000万ドル(推定)を売り上げ、スタジオ別の年間興行成績で見事トップに輝いた。
2015年以来常に首位の座を守ってきたディズニーは、2023年は推定18億9000万ドルでスタジオ別の第2位。『マーベルズ』や『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ーーそれでも年間8位には食い込んでいるがーーといったマーベル・シネマティック・ユニバース全体の不調が影響したとみられる。
もっとも年間ランキングを見ると、本当に優れたスーパーヒーロー映画は変わらずヒットしていることもわかる。年間第3位は『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の3億8131万ドル(しかし第2位とは約2億ドルの開きがある)、第4位は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の3億5899万ドル。厳密には「スーパーヒーロー映画疲れ」ではなく、ひとつのジャンル神話が崩れたのだと見るべきかもしれない。
奇しくも、2023年最後の週末である12月29日~31日のランキングもそのことを証明した。前週公開のDC映画『アクアマン/失われた王国』が首位から陥落し、No.1に『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が返り咲いたのだ。『ウォンカ』は3日間で2395万ドル(前週比+32.7%)を、2024年1月1日(月曜日)を含む4日間では3180万ドルを記録する見込み。一方、『アクアマン/失われた王国』は3日間で1950万ドル(前週比-29.6%)、4日間で2630万ドルとなるようだ。