観客の約4割がZ世代! 『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』北米No.1の好スタート

『ウォンカ』北米で観客の約4割がZ世代

 12月15日〜17日の北米映画週末ランキングは、ティモシー・シャラメ主演『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』がNo.1に輝いた。本作は、日本ではジョニー・デップ主演の映画版『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)が有名な児童文学『チョコレート工場の秘密』に基づく新たな実写映画化作品。ホリデーシーズンの本格的な到来にふさわしい首位獲得となった。

 『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、週末3日間で事前の予想を上回る3900万ドルを記録。日本を含む海外市場では、12月8日に劇場公開を迎えた国と地域も多く、すでに世界累計興行収入は1億5140万ドルというヒットになっている。製作費は1億2500万ドルと報じられているため、かなり幸先の良いスタートだ。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 本作は『パディントン』シリーズのポール・キング監督が、おなじみウィリー・ウォンカの若き日を描いた、完全なる新作映画。同じく『チョコレート工場の秘密』を原作とした初めての実写映画『夢のチョコレート工場』(1971年)にリスペクトを捧げてはいるものの、厳密には前日譚ではなく独立した一作だ。ウォンカ役のティモシー・シャラメは、軽やかに歌って踊る新鮮な役どころで新境地を拓いた。

 もっとも、コロナ禍以降のハリウッドでミュージカル映画はーースティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年)も苦戦を強いられたようにーーヒットしやすいジャンルではない。このハンデを乗り越えられたのは、ロアルド・ダール作品のブランドと、若い世代から圧倒的人気を誇るティモシー・シャラメ、そして家族連れでも安心のビジュアルがあったからだろう。ストライキの終結後ほぼ初めての大作として、シャラメやヒュー・グラントらがプロモーションに参加できたことも追い風となったはずだ。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 観客の年代は全体の60%が18歳~34歳で、より具体的にいえば、18歳~24歳が全年代で最多の33%。13歳~17歳も全体の1割を占めており、観客の40%以上がZ世代の若者だったことがわかる。男女比は男性46%・女性54%で、やや女性が上回った。

 また、Rotten Tomatoesでは批評家スコア84%・観客スコア91%、劇場の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」評価と、映画としての支持も大きい。ファミリー層向けのライバル作品としては、強敵とみられるイルミネーション最新作『FLY!/フライ!』が12月22日に北米公開されるが、他にファミリー層狙いの競合作品はいないため、口コミ効果で善戦を続ける可能性もある状況だ。

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