広げた大風呂敷を畳めるのか? 『REBEL MOON』で爆発したザック・スナイダーの剛腕

『REBEL MOON』の問題点

 そんなわけで、本作はかなり厳しいものになっている。明らかに『七人の侍』で『スター・ウォーズ』なのだが、この2つにあったようなユーモアがなく、主要登場人物たちの個性が薄く見えるのが致命的な問題だ。そもそもメンバー同士が、あんまり話さないし。

 広げた大風呂敷を畳めるかも不安である。何やら「フォース」じみた、不思議パワーの存在も匂わせているし、どちらかというと戦争映画ノリだった『パート1』が、『パート2』ではそっち側に話が流れていく可能性も高い。主演のソフィア・ブテラがまったく動けないように見えるのも危険である。数々のPVや『キングスマン』(2015年)の義足の人など、動きまくれる人なのに、アクションにキレと迫力がない。なんとなく最後まで観れる、の域を出ていないのが正直なところである。

 ただ、ザックさんは『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021年)が面白かったという、いい意味で困った過去がある。4時間の尺を使った同作は間違いなく傑作だったし、この尺が絶対に必要だったと思える内容だった。なので『パート2』を観れば評価がひっくり返る可能性もあるのだ。藁人形で訓練していた人たちが、どうやって宇宙戦艦に立ち向かうのか? こういった大いなる謎も残っているし。というわけで、今はまだ「大丈夫かな?」という心配を胸に抱きつつ、『パート2』を待ちたいと思います。

■配信情報
『REBEL MOON — パート1:炎の子』
Netflixにて独占配信中
監督・脚本・製作・原案:ザック・スナイダー
出演:ソフィア・ブテラ、チャーリー・ハナム、ペ・ドゥナ、ジャイモン・フンスー、ミヒウ・ハウスマン、スタズ・ネア、レイ・フィッシャー、エド・スクライン、アンソニー・ホプキンス

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