『ブギウギ』笠置シヅ子に影響を与えた“エノケン”こと榎本健一とは? 史実から紐解く

 『ブギウギ』の時代はこれから“戦後”へと向かう。人々が復興するためにはそれを支える娯楽が必要だ。当時このポジションを担ったのが、笠置シヅ子やエノケンだというわけである。

 本作に登場する“タナケン”こと棚橋健二はスズ子と舞台で共演し、やがて彼女の演技の師匠となるらしい。史実でもエノケンと笠置シヅ子はともに舞台に立ち、島耕二監督の『びっくりしゃっくり時代』(1948年)や渡辺邦男監督の『歌うエノケン捕物帳』(1948年)、森一生監督の『エノケン・笠置の極楽夫婦』(1949年)などで共演を重ねている。作品のタイトルに主演俳優の名前を冠しているあたり、いかに当時のエノケンの存在が巨大であったかが分かるだろう。『ブギウギ』で映画づくりのシーンまで描くのかは不明だが、タナケンが演技素人のスズ子に多大な影響を与えるのは間違いないだろう。

朝ドラ『ブギウギ』生瀬勝久が喜劇王“タナケン”に 友近、三浦誠己、みのすけの出演も決定

趣里が主演を務めるNHK連続テレビ小説第109作『ブギウギ』の第9弾キャストが発表された。  2023年度後期、NHK大阪が製…

 さて、そんなタナケンを演じるのは生瀬勝久。コメディもシリアスもなんでもこなす、誰もが知る名バイプレイヤーだ。スズ子とタナケンが共演するシーンはもちろんだが、やはり注目すべきはその“裏側”だろう。つまり、時代を代表する大スターのふたりが、どのように言葉を交わし、どのように作品を作り上げていくのか。フィクションではあるものの、ふたりのやり取りを目撃できることは贅沢だ。

 第9弾の新キャスト発表時に、制作統括の福岡利武は「喜劇王・タナケンの生瀬勝久さんは、超個性的な喜劇王を作り上げてくれています。歌あり、踊りありの舞台シーンにも挑んでいただいています」と述べている。ここからまた『ブギウギ』のカラーも変わってくるのだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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