『ブギウギ』が描き続ける血の繋がらない親子の愛 五木の手紙に込められたスズ子への賞賛

『ブギウギ』が描く血の繋がらない親子の愛

 巡業で長野へやってきたスズ子(趣里)と楽団のメンバーが公演前にくつろいでいると、五木(村上新悟)をたずねて親子がやってくる。

 朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)第59話では、突然のマネージャーの失踪とその後の顛末が描かれた。五木に家族、それも子どもがいたと知って、楽団員たちは目を丸くする。スズ子のファンというナツ(香月ハル)に、五木は茶封筒の金を差し出した。

 プレイボーイの五木に女がいることは、行く先々に待っている人がいるというこれまでの発言から察せられたものの、特定の相手がいる事実に、どう反応すればよいか戸惑った。前話で五木は「食わせなきゃならない相手」がいると口を滑らしそうになっていたが、なれそめを聞くと、ただの浮いた話ではないとわかる。

 松本の旅館で働いていたナツは戦争で夫を亡くし、女手一つで息子の三平(住田将太)を育ててきた。地主である夫の実家で肩身の狭い思いをしていたナツに、五木は金を工面してやり、そこから2人の関係が始まった。五木はナツの境遇に同情し、他の女性との関係を清算してまで、ナツのために尽くした。五木が親身に世話をしたことは、三平が五木になついている様子から伝わってくる。

 五木は行きがかり上、手を貸しただけで、ナツは赤の他人である。五木が困っている人を放っておけない性格だと知ったスズ子は援助を申し出る。スズ子の脳裏に、実母のキヌ(中越典子)のことが浮かんだかもしれない。キヌもスズ子を産んだ後、夫を亡くして苦労してきた。血のつながらない三平を我が子同様にかわいがる五木に、自分を育ててくれた梅吉(柳葉敏郎)とツヤ(水川あさみ)を重ねていたかもしれない。

 義理と人情を大切にするスズ子のおせっかいは、五木にも伝わるところがあったようだ。村山興業の手前、愛助(水上恒司)と別れるように迫っていた五木はスズ子に言った。

「こんなご時世に恋だ何だって、バカだとは思ってたけど本当にバカだよ」

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