クライマックスが近づく『ONE DAY』の伏線回収はどうなる? 脚本・演出担当から考える

『ONE DAY』脚本・演出担当から考える

 演出にも注目してみよう。本作の特徴のひとつは、前回は誠司回、今回は桔梗回、次回は時生回……というように各話ごとに特段フォーカスされる人物がいるわけではなく、1話の中でストーリーの主軸が自然とバトンタッチすることが大きな特徴である。特に印象的だったのは、第6話で描かれたスマホをキーアイテムとして、時生と誠司の関係者が関わり合う場面だ。このきっかけとなったスマホは、第4話でひょんなことから橋の上でぶつかってしまった時生と誠司が互いに取り違えてしまったもの。些細な一瞬の出来事が小さな繋がりを生み、それがその人自身だけではなく、周囲の人々の物語をも大きく動かすことになることをスマホで見事に表現している。

 たまに起こるように感じられるセンセーショナルな出来事は、実は突発的なものではなく日常生活の積み重ねの上にある。本作の演出をメインで手がけている鈴木雅之は、ホテルスタッフとして潜入捜査をしている刑事とその教育係であるスタッフが、ホテル内で日常起こるの悲喜こもごもの出来事に向かい合っていく様子を描いた映画『マスカレード・ホテル』『マスカレード・ナイト』などを手がけており、緩くもあり、劇的でもある“日常”をうまく切り取って、魅せることを得意としてるように感じる。

 また、鈴木が演出を手がけているドラマには『HERO』シリーズ(フジテレビ系)や『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)のように、検察官や放射線技師など、特定の仕事に従事する人たちが奮闘する姿を描いたものが多い。本作も、警察、テレビ局、レストランと様々な仕事場が舞台となっているが、その中でもカレン(松本若菜)や桔梗、梅雨美(桜井ユキ)にみられるように悩みつつも仕事に向き合っている人たちの懸命な姿が光っている。

 クライマックスに向けて、ますます目が離せない本作だが、まだまだ解決されていない謎も多い。伏線回収と最後のまとめあげに期待が高まっていく。

■放送情報
『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、中谷美紀、大沢たかお、江口洋介、佐藤浩市
【逃亡編】中川大志、松本若菜、中村アン
【地方テレビ局編】福本莉子、小手伸也、加藤諒、大水洋介、丸山智己、梶原善
【レストラン編】桜井ユキ、井之脇海、今井英二、栗原英雄
脚本:徳永友一
企画・プロデュース:成河広明
演出:鈴木雅之
主題歌:ミイナ・オカベ「Flashback feat. Daichi Yamamoto」
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/oneday_christmas_ado/
公式X(旧Twitter):@oneday_xmas_ado
公式Instagram:@oneday_xmas_ado

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