水上恒司、変化した役者としての覚悟 「自分の言葉で作品のメッセージを伝えていけたら」

水上恒司、変化した役者としての覚悟

「堂々と胸を張って人に勧められるような作品を選んでいく」

――趣里さんの座長ぶりはいかがでしたか?

水上:趣里さんは実際の撮影期間だけじゃなく、休みの日もボイストレーニングだったり、歌やダンスのリハーサルもある中でセリフも覚えなきゃいけないという歴代の朝ドラヒロインの中でもかなり厳しいスケジュールをこなしています。にもかかわらず、僕たち周りのキャストや現場のスタッフには苦しい顔を一切見せないんです。「いい現場だったね」「いい時間だったね」って思ってもらいたいという姿勢がビンビンに伝わってきますし、僕自身も他の撮影と重なって心身ともにきつい時期があったんですが、そんな趣里さんの姿にすごく励まされました。常に「この人にエネルギーを注ぎ込んであげたい」と周りをポジティブな気持ちにさせてくれる立ち方をされています。

――そんな趣里さんと共演されて、改めて思うことを教えてください。

水上:僕はスズ子と同じく芸を生業にしていることもあり、周りの方に傘を持ってもらったり、タクシーを使わせていただいたりするので、どうしても自分中心に世界が回っているような気分になりがちなんです。一方で、いち人間としてそれでいいのかなと疑問を持つこともあって。そんな中で今回、愛助というスズ子を支える立場の人間を演じるのはすごく新鮮でしたし、現場での趣里さんの振る舞いに見習うべき点が多々ありました。なにより、何の疑問も持たず、スズ子のことを「もう好き!」「愛してます!」って言えることが嬉しいです。そこは本当に、趣里さんに感謝ですね。

――これから作中では戦争が激化し、スズ子を取り巻く環境もどんどん厳しくなっていきます。そんな中で、スズ子と愛助の関係は観る人にどんな希望を与えると思いますか?

水上:先日、趣里さんともお話ししたんですが、やっぱり戦争を共に乗り越えたという経験は切っても切り離せないような絆になっていくと思うんです。スズ子は歌や踊りができなくなって、愛助もいろんな困難に見舞われながらも、愛を育み、そして共に再起を目指していきます。もちろん悩みは比べるものではなく、スズ子たちの苦しみに比べて現代社会を生きている人の悩みが大したことないわけじゃない。だけど、スズ子と愛助の姿が何かを頑張る些細なきっかけになれると信じていますし、なっていただけたら僕は今の時代にこの物語を届ける意味があるのではないかなと思っています。

――今回の朝ドラ出演はNHK大河ドラマ『青天を衝け』で演じた渋沢平九郎がきっかけとなったそうですが、水上さんは以前も『中学聖日記』(TBS系)での好演が『MIU404』(TBS系)への出演に繋がったりと、同じチームから再度オファーを受けることが多い印象です。それについては?

水上:変に気に入られようとしているつもりは一切ないんですけども、その瞬間は一期一会でもう二度と来ないと思って周りの方々と接するようにしています。それが結果的に次の仕事に繋がって、「お前に任せるわ」って言ってもらえるのはやっぱり嬉しいですよね。今回も朝ドラヒロインの相手役というこの上ないポジションにつけてもらっている以上、その期待に十二分に応えていきたいですし、何らかの形で評価に値するものになればいいなと思っています。

愛知の劇場・楽屋にて。緊張した表情でスズ子を見る村山愛助(水上恒司)。

――初の朝ドラ出演を経て、ご自身の中で変化したことはありますか?

水上:もちろん、オファーをいただいた時は朝ドラに出演できるという喜びはありました。ただ、実際に現場に入ってみると朝ドラだからどうこうという感覚は自然となくなるんですよね。僕の中では、共演者やスタッフの皆さんと過ごした現場での時間がそのまま作品の価値に繋がっています。

――今回の取材を通して、水上さんがご自身の役をどう演じるかということ以上に、「作品をどう届けるか」という点に意識を向けていらっしゃるように感じました。その意識的な変化には何かきっかけがあったのでしょうか?

水上:いつ頃からっていうのは明言しにくいんですが、やっぱり自分が携わると決めた以上、その作品を世に出す意味は考えないといけないなとだんだん気づき始めて。特に映画は顕著ですが、お金を払って劇場に足を運んでいただく以上、それに見合った価値を提供しなければいけませんし、逆に言えば、お金を払ってでも観に行きたいと思ってもらえるような宣伝をしなければいけないわけです。なので、役者であってもただ演じるだけじゃなく、自分の言葉でその作品の意味やメッセージを伝えていけたらと思っています。

――今年も『ブギウギ』を含め、たくさんの作品に出演されてきましたが、今後ご自身で出演する作品を選ぶ上で何を大事にしていきたいですか?

水上:先ほども言いましたが、一番はやっぱり自分が「これを観てください」って言える作品を選んでいくということです。いろんな仕事の選び方があって、正解はないと思うんですが、堂々と胸を張って人に勧められるような作品を選んでいくのが自分なりの誠実さだと思っています。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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<応募締切>
12月25日(月)

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