人類の歴史を暗示? 『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』が描く“怪獣の脅威”

『モナーク』が描く“怪獣の脅威”

 ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』(2014年)からスタートした、レジェンダリー・エンターテインメントとワーナー・ブラザース・ピクチャーズによる、怪獣映画シリーズ「モンスター・ヴァース」。言わずと知れた東宝のゴジラと、アメリカを代表するモンスター、キングコングの世界がクロスオーバーする作品群が送り出されている。アメリカで2024年4月に公開される『ゴジラxコング:ザ・ニュー・エンパイア(原題)』にも期待が集まっている。

 「モンスター・ヴァース」の配信作品としては、Netflixでアニメシリーズ『髑髏島』が配信されているが、今回、初めての実写ドラマシリーズとなる『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の配信が、今度はApple TV+で始まっている。

 そんなドラマシリーズ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の中身はどんなものなのか。全体で10ものエピソードが用意されているのでまだまだ序盤といえるが、現時点でシリーズを評価しながら、今後の流れを予想しつつ、本シリーズが何を描くことになるのかを予想してみたい。

 近年Apple TV+は、映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に巨費を投じたり、『Pachinko パチンコ』や『インベージョン』など、大規模予算の国際的なドラマ作品を次々と手がけるなど、映像配信サービスとしての価値を急速に高めている。そこにきての、「モンスター・ヴァース」への参加である。

 これまでの「モンスター・ヴァース」の実写映画シリーズは、映画作品としてハリウッド最大規模の予算をかけてきた超大作だった。それだけに、そのダイナミックな世界を、怪獣のVFXシーンを交えながらドラマシリーズで描いていくという企画というのは、想像を絶するものがある。

 Apple TV+で好評を博している、サスペンスドラマ『セヴェランス』のクリエイターであるクリス・ブラックらが製作の中心となり、マット・シャックマン(ドラマ『ワンダヴィジョン』)など5人の監督が演出を手がけている本シリーズの物語は、東京を舞台に動き出す。

 物語の中心となる人物は、アンナ・サワイ(『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』、『Pachinko パチンコ』)が演じる、アメリカ人女性ケイトだ。『GODZILLA ゴジラ』で描かれた、ゴジラによる襲撃「G -DAY」を経験し、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジ破壊時に、すんでのところで生き延びた過去がある。

 彼女は旅客機に乗ってアラスカで消息不明となった父親・ヒロシ(平岳大)のことを調べるため、2015年の東京にやって来た。そもそも日本は大規模な撮影の許可を取りづらく、近年は新型コロナのパンデミックによって海外ロケ自体がなかなか難しくなっているなか、ちゃんと実際の東京で撮影されているところに驚かされる。ロケ撮影をしていることで、現実との繋がりを感じさせ、ドラマ全体に臨場感が生まれるのだ。

 同時に、怪獣迎撃用と思われる兵器が街なかに配備されているという、物々しい光景が映し出されるところが面白い。ちなみに、これらの描写は、実際の建物が並んだ景色や、生島ヒロシが運転手を演じるタクシーとともに描かれることで、現実の生活感と近未来ディストピアを混ぜ合わせたリアリティを醸し出している。これは、『新世紀エヴァンゲリオン』でも使われている趣向である。

 ケイトは東京で、異母兄弟ケンタロウ(渡部蓮)と初めて出会い、父ヒロシが日本に“もう一つの”家族を作っていたことを、その場で知って衝撃を受ける。そんなケイトとケンタロウは、ある組織の人物に追われたことで、ケンタロウの友人メイ(キアシー・クレモンズ)とともに、老人ホームで暮らしているリー・ショウという人物に助けを求めることに。

 リー・ショウを演じているのは、カート・ラッセル。本作は、ケイトとケンタロウ、メイとショウの4人を中心に、日本を飛び出して世界をめぐり、さまざまな怪獣やヒロシにまつわる謎を追っていくという内容になっていきそうだ。若い主人公たちと、道を指し示してくれる、伝説を作ってきた男……まさに青春アドベンチャー作品という枠組みだ。

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