『大奥』岸井ゆきの×志田彩良は原作から飛び出したよう 視聴者にも光を届けた家茂の言葉

『大奥』視聴者にも光を届けた家茂の言葉

 どんなに無礼な態度を取られても、家茂が和宮に心を配り続けるのは心から感謝しているから。日本が開国派と攘夷派で真っ二つに分かれる中、外国がいつ攻めてきてもおかしくない状況下で人々は不安に揺れている。そんな中で公武合体のために住み慣れた京都を離れ、江戸に下ってきてくれた和宮を家茂は「世の光」と表現する。

「そのお方はそこにいらっしゃる。ただそれだけで図らずも救われる人間が山のようにいる。そのようなお方を世の光と呼ぶのだと私は思います」

 家茂の言葉に、和宮がどれほど救われたことだろう。和宮は勧行院の“家の光”にはなれなかったが、家茂の言葉でそれ以上に眩ゆい“世の光”になることができた。勧行院は現代ならば毒親と称されるであろう存在で、和宮と同じように苦しんでいる人はきっと大勢いる。親に愛されない自分に価値はないと思い込んでしまっている人もいるだろう。けれど、一歩外に出てみれば数多の人がいて、その中にはあなたの価値を認めてくれる人も必ずいる。家茂の台詞はそういうメッセージにも聞こえた。

 家定(愛希れいか)と天璋院がそうだったように、元々は対立する立場にありながらも違いを知り、心を通わせていく家茂と和宮。一方で水戸や薩摩、朝廷が擁立する一橋慶喜(大東俊介)が将軍後見職に就き、何やら企んでいる様子も伺える。そんな慶喜の意向で家茂は、229年ぶりの将軍上洛を行うことに。果たしてそれはこの難局を脱する鍵となるのか。天璋院曰く、相手の懐に深く潜り込む天賦の才を持った家茂の活躍に期待したい。

■放送情報
ドラマ10『大奥』Season2
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:
【医療編】
鈴木杏(平賀源内)、玉置玲央(黒木)、村雨辰剛(青沼)、岡本圭人(伊兵衛)、中村蒼(徳川家斉)、蓮佛美沙子(御台・茂姫)、安達祐実(松平定信)、松下奈緒(田沼意次)、仲間由紀恵(一橋治済)
【幕末編】
古川雄大(瀧山)、愛希れいか(徳川家定)、瀧内公美(阿部正弘)、岸井ゆきの(和宮)、志田彩良(徳川家茂)、福士蒼汰(天璋院・胤篤)
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
音楽:KOHTA YAMAMOTO
写真提供=NHK
©よしながふみ/白泉社

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