『うち弁』平手友梨奈がツンデレの極み 自ら素直になることができた杏の大きな一歩

『うち弁』平手友梨奈がツンデレの極み

 『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)後半戦に突入する第7話は、蔵前(ムロツヨシ)の漫談シーンから幕開けとなる。時間にして4分弱、台本は4ページを超えるという手に汗握るムロの圧巻の話芸。だが、残念ながらドラマ本編とはそれほど関係しているわけではない。

 後半戦の開幕戦としてむしろ相応しいと言えるのは、蔵前が以前マネージャーを務めていた笠原梨乃(吉瀬美智子)やヤマトテレビのドラマプロデューサー・静川薫(東根作寿英)、さらに蔵前の元マネージャー仲間で、よき相談相手でもある安藤カオリ(安達祐実)が再登場する点にある。

 杏(平手友梨奈)が依頼を受けるのは、笠原が主演を務める連続ドラマの放送を止めてほしいという案件。蔵前は笠原と最悪の形で再会し心揺さぶられ、さらには杏と大喧嘩の末にコンビ解消の危機に直面するという展開だ。

 観ていていじらしいのは、蔵前も杏も互いを気にしながら、自分に正直になれないところ。前回、同級生の麻生一郎(津田健次郎)に「懸けてみたい」と杏への思いを熱弁していた蔵前。「あなたの代わりはいくらでもいますから」とかつての笠原の言葉をフラッシュバックさせる一言を杏から言われカッとなるも、蔵前はどうしても杏のことが気になってしょうがない。新米パラリーガルの岩淵(日向亘)となんだかんだ上手くいく杏を、ドアの隙間から覗く蔵前はどこからどうみても嫉妬に狂ったストーカー。だが、笠原とは口喧嘩すらできない一方通行の関係性にあった。

 丸屋(酒向芳)の言う通りに、蔵前と杏は「喧嘩するほど仲がいい」。折れてあげるのが円満の秘訣という丸屋のアドバイスを受け、蔵前は正直に杏に頭を下げる。「私こそごめんなさ……」「私こそご……ごめん……」とここにきてもなお素直になれない杏は、ツンデレの極み。「かわいそうなんで、仕方なく許してあげます」と腕組み上から目線の末に、「んっ!」と缶コーヒーを蔵前に差し出す杏を見て、『となりのトトロ』のカンタを思い出してしまった。屋上にいる2人を階段からそっと見守る辻井(村川絵梨)、山崎(松尾諭)、丸屋、岩淵は、例えるならば『天空の城ラピュタ』のパズーとシータの会話を盗み聞きするドーラ一家といったところだろうか。

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