『うちの弁護士は手がかかる』金城綾香Pに聞く“ドラマ制作”の未来 パロディの裏側も

『うち弁』金城綾香Pに聞くドラマ制作の未来

 フジテレビ系にて放送中の連続ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』は、ムロツヨシ演じる元芸能事務所の敏腕マネージャー・蔵前勉が、平手友梨奈演じる新人弁護士・天野杏に振り回されながらパラリーガルとして奮闘する、育成型リーガルエンターテインメントだ。

 約54年ぶりに復活したフジテレビ系金曜21時枠のトップバッターを担ったのは、『監察医 朝顔』や『PICU 小児集中治療室』などの仕掛け人でもあるプロデューサーの金城綾香。本作を通して、彼女はどんなことを伝えたいのか。ムロと平手の印象や、昨今のドラマブームについて思うことなどを聞いた。

「疲れを忘れる作品にしたい」

――本作の制作の経緯を教えてください。

金城綾香(以下、金城):金曜21時に新しくドラマ枠が設けられると聞いたときに、まず「自分自身が金曜日の21時をどうやって過ごしているか」を考えました。そうしたところ、月曜日から一生懸命働いていると金曜日ってけっこうくたびれていて、飲みに行く元気がないぐらい疲れていることも多いなと思いました。だからこそ、家族でもおひとりでも疲れを忘れて楽しめる、チャンネルを合わせたら元気な人たちに会えるドラマを作りたいなと考えました。

――題材としては“育成型リーガルエンターテインメント”と謳っていますね。それはなぜでしょう?

金城:家族で観ることを想定したときに「ハハッ」と笑えるけど、少し勉強になるようなものがいいなと思ったんです。それで、弁護士ものにしようと。弊社で放送していた『リーガル・ハイ』や『HERO』のような、エンタメ性の高い法律ものの作品を私自身が大好きだったこともあって、そういう作品が金曜日にあるといいなと思いました。

――金曜21時の他局といえば、長く続いている番組も多い印象です。その上で、視聴者層は大人から子供までを想定したのでしょうか?

金城:そうですね。21時は小さい子でも起きているイメージがあったので、あまり激しいものはやらないようにしようと。年代は選ばず、広く観ていただけるものにしたいなと思いました。

――法律ものというジャンルは、作りようによっては難しくなってしまうこともあるかと思います。幅広い世代に観てもらう内容にすべく、どのようなことを意識していますか?

金城:パワハラや学校のイジメ、離婚の際の親権争い、裁判員裁判など、身近でイメージがしやすい題材を取り上げることを意識しています。小学生でもわかる内容かつ、「時効があるんだよ」とか、「メールはちゃんと残しておかないといけないよ」とか、ちょっとだけタメになる知識を入れられたらいいなと。その方が、家族でもコミュニケーションをとりやすいかなと。そういうことを意識しました。

ムロツヨシと平手友梨奈がバディに選ばれた理由は?

――本作の主演にムロさんを、バディに平手さんを起用した理由を教えてください。

金城:先ほども申し上げたように、疲れきっている金曜日の夜、おそらく1番疲れているのは世間のおじさんたちだと思います。金曜日に疲れて帰ってきても、週末は子どもを遊園地に連れて行かないといけないし、家族の話も聞かないといけない。そのような世代の方に主役になってほしいなと思った時に、みんなが大好きなおじさんといえばムロツヨシさんだと思ったんです。ムロさんが引き受けてくださるとなって、ムロさんを振り回してくれる人は誰がいいかなと考えたときに、良い意味で行動が予測できない、役によって表情を変える平手さんがぴったりだなと思いました。個人的にも、すごく見たい組み合わせだったので、幸せな布陣だと思っています。

――実際、撮影が始まってみてからのおふたりはいかがでしょうか?

金城:平手さんに関しては、実際はすごく礼儀正しく、いろんな方に話しかけたりもして、チャーミングな方だなと思いました。それをすごく上手に役に反映してくれているので、普段は我々しか見られない平手さんの部分も含めて画面越しで観ていただけたらなと思います。

――ムロさんに関してはどうでしょうか?

金城:ムロさんはいろんな役を演じられていますが、逆に素に近いムロさんが1番新鮮なんじゃないかと思っているので、「やりやすいようにやってほしい」とお伝えしています。だから、普段の気の配り方だとか優しさとか、穏やかさ、テキパキしている感じが、そのままキャラクターに乗っているなと思っています。

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