永瀬廉には“謎の青年”や“ミステリアス”がよく似合う 『厨房のありす』に高まる期待
2024年1月に日本テレビ系日曜ドラマ『厨房のありす』が放送開始となる。
主演を務める門脇麦が演じる主人公・八重森ありすは、「料理は化学です」が口癖の自閉スペクトラム症の天才料理人。自閉スペクトラム症の特性から、頑固でこだわりが強く、人とのコミュニケーションは苦手だが料理で人と繋がろうとする。 驚異的な記憶力の持ち主で食材の栄養素や調理工程を化学式や化学変化で理解しており、客の健康状態や精神状態からその人に合った“やさしいごはん”が作れる。『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)では表舞台から突然姿を消した元・天才ヴァイオリニスト・谷岡初音役を好演した門脇が本作で演じるのは、まさに天職を邁進中の人物のようだ。
そんなありすの人気店「ありすのお勝手」に住み込みバイトとして転がり込む謎の青年・酒江倖生役を務めるのが、King & Princeの永瀬廉。“謎の青年”、“ミステリアス”という響きと、永瀬から感じられるイメージはどうしてこうもマッチするのか。相性抜群だ。倖生は一見すれていて無愛想、ぶっきらぼうだが根は心優しく、ありすの言動に戸惑いながらも、徐々に寄り添い支えるようになっていくという役どころ。ありすとは異なるベクトルで彼もまた不器用で少し生きづらさを抱えていそうだ。
永瀬と言えば、『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)で演じた海野音のアンニュイな横顔やちょっぴり寂しそうにはにかむ笑顔が思い出される。言葉を発するより先に制御がかかってしまい、本音と実際の言葉に距離があるような音の、それゆえの非言語コミュニケーションの優しさを永瀬は非常に繊細に丁寧に見せてくれた。ちょっとした間の取り方や緩急、眼差し一つの絶妙な違いでその抑えた感情の中にも実に幅広く鮮やかなグラデーションがあることを身をもって教えてくれる。本音と言葉がちょっと遠くて、控えめで、そんな音が差し出す“配慮”は独りよがりなところがなく、ほっと一息つきたくなるような、どこまでも広がる安心感があった。
『夕暮れに、手をつなぐ』監督が語る特別なワンカット 広瀬すず×永瀬廉の空気感を大切に
『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)の第7話で、“夕暮れに、手をつないだ”空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)。音が出ていってしまうこ…
朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合)で演じた“りょーちん”こと亮の力なく笑う姿は観る者の胸を締め付けさせ、彼自身が心の奥底に沈めてきた傷の深さが垣間見えるかのようだった。その人が笑うとなぜだかこっちはちょっぴり泣きたくなってしまう……そんな優しさやままならなさが滲む役どころを演じるのが、永瀬は抜群に上手い。
本作でも永瀬は何やらワケありのバイト青年を演じるようで、実はありすの店で働き始めたことにも目的があるようだ。何らかの目的を持ちその使命に駆られながらも、生身のありすを前にきっと影響され浸食されていく倖生の静かで激動な変化を、永瀬はどんなふうに見せてくれるのか、楽しみで仕方ない。