“南雲”鈴木亮平はなぜ教師を偽装したのか 『下剋上球児』が問いかける教育の意味

『下剋上球児』が問いかける教育の意味

下剋上球児

 南雲に対して、生徒と大人たちで対応の差ははっきりしている。その人が自分のことを考えてくれているかは、隠そうとしてもわかってしまうものだ。成長過程にある10代なら、なおさらその違いを鋭敏に感じ取る。南雲は罪に問われる立場である。たとえ大人が見とがめても、部員たちは周囲の目もかまわず南雲の元に集まった。彼らは野球を通じて南雲が自分たちに楽しさや喜びをくれたことを忘れておらず、信頼できる大人であると見抜いていた。

 このことから引き出されるのは、教師そして教育とは何かという問いだ。南雲が回顧した寿との会話。「なんで子どもは学校で勉強するに?」という疑問に対して、寿は、憲法で決まっていると前置きしてから、「なりたい大人んなるためだわ」と返した。教育を通して、子どもは大人になる。自分を育ててくれた人のことは何歳になっても忘れないものだ。いつか大人になった時、その人がしてくれたことを思い出すとともに、どれだけ深い愛情をもって接してくれたかに気付く。それこそが本当の教育であると伝えていた。

■放送情報
日曜劇場『下剋上球児』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、明日海りお、山下美月、きょん(コットン)、中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平、菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也、福松凜、奥野壮、絃瀬聡一、鳥谷敬、伊達さゆり、松平健、小泉孝太郎、小日向文世
原案:『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:佐藤美紀、黎景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル
©TBSスパークル/TBS(撮影:ENO)
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
公式Instagram:@gekokujo_kyuji
公式TikTok:@gekokujyo_tbs

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