“南雲”鈴木亮平はなぜ教師を偽装したのか 『下剋上球児』が問いかける教育の意味

『下剋上球児』が問いかける教育の意味

 雌伏の時だ。やがて芽が出る日をじっと待ちながら、来たるべき戦いに備える。11月12日放送の『下剋上球児』(TBS系)第5話では、疑惑の渦中にある元教師と生徒の絆が闇夜に希望の灯をともした。

下剋上球児

 南雲(鈴木亮平)は自らの罪を償うため警察に出頭した。小さな町で噂はまたたく間に広がり、南雲が無免許で教師をしていたことは野球部の生徒の耳にも入る。山住(黒木華)は同僚の教師から問い詰められ、父兄からは学校側の責任を問う声が上がった。在宅のまま取り調べを受けていた南雲は、弁護士の榊原(伊勢志摩)を介して、捜査の進展と法の裁きを待つ身となった。

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 なぜ南雲は教員を偽装したのか。南雲の口を通して、私たちはそれを知ることになる。両親のいない南雲を育ててくれたのは、小学校の担任の寿(渋川清彦)だった。寿の家で南雲は勉強だけでなく、生きていくために必要なことを教わった。高校へ進学した南雲は野球と出会う。賀門(松平健)の元で練習に明け暮れる中で、教師になるという夢が膨らんでいった。「諦めきれなかったんです」と言う南雲は大学に入り直すが、必要な単位を取得できずに中退した。

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 妻と子のためにと教員免許状を偽造し、教師に採用されてからも、南雲は何度か自分から教師を辞めようと思ったと話す。それを押しとどめたきっかけに、ある生徒との出会いがあった。生徒指導を任された恵美(新井美羽)は、放課後にパパ活で小遣いを稼いでおり、南雲は彼女の後を追って夜の街を徘徊した。ある日突然、恵美はパパ活をやめた。子どもたちが持つ可能性を目の当たりにした南雲は、教師という仕事に魅了されていた。

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 南雲を失った野球部は新規巻き直しで新監督の塩尻(町田啓太)を迎える。犬塚(小日向文世)が連れてきた塩尻は他校で指導歴があり、現有戦力で予選を勝ち抜くことはできないと考えてスカウトに力を入れる。そんな時、二番手ピッチャーの根室(兵頭功海)の行方がつかめないと連絡が入る。ピッチャーをやめて野手に転向させようという山住と塩尻の会話を偶然耳にした根室は南雲から借りたグローブを返しに行き、そのまま姿を消した。

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 心配してほうぼうを探し回る南雲たち。夜を徹して訪ね歩き、車庫に入った電車の中で根室を見つける。遠距離通学に加えて、根室は部活とアルバイトで疲れきって眠ってしまったのだった。南雲にとって自分のことを先生と呼んでくれる根室は、かつての自分と二重写しになったに違いない。気になって眠れなかった翔(中沢元紀)や野球部の全員にとっても南雲はいまだに“先生”であり、練習の成果と強くなった自分たちを見せたいのが南雲だった。

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