『ウマ娘』Season3、キタサンブラックの勝利をなぜ“止め絵”に? 今後の物語を予想
アニメ、ゲーム、ライブとさまざまなメディアを席巻する大人気クロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』。オグリキャップ、シンボリルドルフ、スペシャルウィークなど、日本中央競馬(JRA)で活躍した歴代の名馬をモチーフにした美少女キャラクター「ウマ娘」たちが、現代世界に似た異世界(動物としての「馬」は存在せず、我々の世界で活躍した競走馬たちの能力、名前、魂を次元を超えて引き継いだ「ウマ娘」という種族が人間と共存している)を舞台に、レースでシノギを削る姿を描いた熱血青春ストーリーだ。
2016年に企画がスタートし、2018年にはTVアニメ第1期が放送。そして2021年のTVアニメ第2期と待望のゲームアプリのサービス開始で人気が一気に爆発。競馬史に刻まれた名勝負の数々を巡るドラマの再現度や、競走馬だけでなく共に走る騎手や馬を支える調教師、厩務員、生産者にまつわるエピソードも取り込んだ構成に競馬の関係者やファンにも人気が波及。アニメやゲームで新たなウマ娘の追加が発表されるとSNSでもすぐさまトレンド入りするなど、社会現象級の盛り上がりを見せているのだ。
そんな『ウマ娘』の最新TVアニメシリーズとなるSeason3が10月より好評放送中。今回の主人公・キタサンブラックは、モデル馬が2015~2017年にかけて大活躍し、大物演歌歌手・北島三郎の所有馬ということで多くの競馬ファンから愛された強豪馬。その子どもであるイクイノックスが国内のみならず海外でも勝利を飾り、10月29日に開催され11年ぶりに天皇、皇后両陛下も観戦なされた第168回天皇賞・秋を世界レコードタイムで勝利したこともあり、大きな注目を浴びている存在だ。
Season2では主人公・トウカイテイオーに憧れる小学生ウマ娘として登場した彼女が、今回は成長した姿でトレセン学園(日本ウマ娘トレーニングセンター学園)へ入学。トウカイテイオーのような強くてキラキラ輝くウマ娘を目指すも、強力なライバルたちに敗北を重ねて苦悩するキタサンブラックの姿が描かれ続けてきた。
同じように悩みながらも走り続けてきたナイスネイチャや、豪放磊落なゴールドシップといった先輩たちに励まされながら成長していくキタサンブラックは、第4話では自分の持ち味であるタフで頑丈な身体を磨き上げるべく特訓を開始。Season2でハードトレーニングの末に勝利を掴んできた先輩・ミホノブルボン&ライスシャワーによる猛特訓と、負けてもうつむかずに前を見据える親友・サトノダイヤモンドの姿に勇気をもらい、3200メートルを走り抜く最長G1レース、天皇賞・春で見事に勝利を飾るのだった。
だが、そのレースが描かれたのは特別エンディングという形の止め絵ビジュアルのみ。Season2ではトウカイテイオー、メジロマックイーン、ライスシャワーらがシノギを削る熱い勝負が描かれ、Season3から登場したシュヴァルグランやサウンズオブアースも一緒に走った大レースなのに……だがこれには納得の理由があるのだ。
Season3第1話では、皐月賞、日本ダービー、菊花賞のクラシック三冠をかけたレースに挑むも、サプライズ登場で話題となったライバル・ドゥラメンテに連敗を喫して、憧れのトウカイテイオーのようになれないと絶望するキタサンブラックの姿が描かれた。
では競走馬のキタサンブラックはどうだったのだろうか? こちらも同様の成績で歩んでいて、クラシック三冠の最後を飾る菊花賞でもファンの期待は集めていなかった。しかし元々大きな馬体が夏の間に急成長をしてそれまでとは一変。力強いレース運びで見事勝利を飾った。アニメではナイスネイチャの導きで自らを見直して覚醒したように、キタサンブラックを支えた人たちの信頼がその強さを目覚めさせたのだ。
そして第4話にあたる時期にキタサンブラックに大きな転機が訪れる。日本競馬界を代表するトップジョッキーで、『ウマ娘』でもアニメやCMに出演して人気の盛り上がりに一役買っている武豊騎手とのラストランまで続くコンビ結成だ。
当時の武豊騎手は、若手や外国人騎手の活躍と50歳に近づいた年齢もあって、衰えはないものの有力馬に乗る機会も減ってきていた。そんな時にキタサンブラックの主戦騎手だった北村宏司が怪我で騎乗できなくなり、ちょうどスケジュールが空いていた武豊にオファーが入ったのだ。同じレースを幾度か走り、そのカッコ良さ、力強さに惹かれていた武豊は騎乗を快諾。日本最強のジョッキーとゆっくり確実に力強さを増していくキタサンブラックの出会いが、後に数多くの勝利をつかみ取っていくこととなる。