韓ドラ要素全部入り! 韓国で社会現象になった傑作『ペントハウス』シーズン1を徹底解説

韓ドラ王者『ペントハウス』S1を徹底解説

 ソジンのプライドをかけた子育ての犠牲となるのは、ソジンの娘ウンビョル(チェ・イェビン)だ。芸術高校の理事長である祖父と、部長である母を持つウンビョルは、常に成績優秀であることを求められ、過度な教育とプレッシャーにより、心を病んでいく。弱いメンタルを持つウンビョルは、母ソジンの鬼のような子育てにより、自分自身を保てなくなり、正気を失っていく。そのさまは哀れとしか言いようがない。

 ウンビョルを刺激する、ソジンのライバルであるユニの娘で声楽の才能を受け継いだペ・ロナ(キム・ヒョンス)。彼女は、オペラ歌手を目指し芸術高校を受験するが、ソジンの策略により補欠となってしまう。ユニは、娘ロナをなんとしても合格させたいと、首席合格者のミン・ソラ(チョ・スミン)を殺害しようとするのだが、両親のいないソラの働く姿を見て、心を痛めるのだった。このユニとソジンの因縁の関係が、全編に渡り娘たちにまで受け継がれていく。自己顕示欲と欲望の権化であるソジンもソジンだが、ユニのソジンへの挑発もまた凄まじい。互いに目を剥き、罵り合う姿は恐ろしく、攻守が二転三転し、ハラハラする。最後はどちらが勝つのだろうと気になって、決着を見るまで見届けたくなり、やめられない。

 物語は、ヘラパレスの華やかなパーティーから始まるのだが、女神のように美しいスリョンのドレス姿や、豪華な調度品にうっとりしていると、ヘラパレスから転落するソラの血塗られた姿がアップになる。悲鳴を上げるスリョンとともに、視聴者も度肝を抜かれる始まり方だ。ここからストーリーは、過去に遡り、ソラにいったい何があったのかが描かれる。この中で、ソラの犯人探しを中心に、ダンテとソジンの不倫、ソラとロナへのいじめ、スリョンとダンテ夫婦の過去におきたおぞましい事件、養子縁組を使った陰謀、出生の秘密と、パンドラの箱から次々に災厄が飛び出すかのように物語が展開し、次々に謎が明かされていく。ソラの死を巡って、ヘラパレスの価値が下がることを恐れたヘラクラブのメンバーは、不承不承に一致団結し、ソラの死を隠蔽工作することにする。

 ヘラクラブに所属している、主要登場人物の残る2家族のうち、ヒエラルキーの一番下にいるのは、カン・マリ(シン・ウンギョン)とその娘ジェニ(チン・ジヒ)だ。マリは、垢すり銭湯で働きながら、上り詰めた女性で、はっきりとした物言いはするものの、ヒエラルキーの上にいるダンテやソジンとその子供たちの言いなりだ。マリの夫は、シーズン1では、刑務所にいることだけがわかっており、次のシーズン2、3で謎が明かされていく。

 マリよりは上の階に住みながらも、ダンテやソジンに見下されている弁護士のイ・ギュジン(ポン・テギュ)&コ・サンア(ユン・ジュヒ)夫婦に至っては、3枚目キャラのお笑い要員のような扱いで、日和見主義ながら、根は悪い人ではないお人好しなお金持ちのボンボン夫婦だ。その息子イ・ミニョク(イ・テビン)も、親に似たタイプでにぎやかし要員のような立ち位置で、首謀各の子供たちが言い出したことに従う“蛙の子は蛙”キャラだ。

 上流階級の4家族に、庶民で苦しい暮らしをしていた不動産業のユニが、ヘラパレスの住人たちと出会ったことで、運命が大きく変わっていく。シーズン1では、ユニが台風の目となり、ヘラパレスを嵐に巻き込んでいく。

 親たちの尽きない欲望と、子供のためならなんでもできるという親たちが悪魔のようになっていく姿は、決して共感できるものではない。主要キャラ全員が主人公といっても過言でないぐらい、キャラのたった登場人物たちが泣き叫び、喚きまくり、とんでもないことをしでかしどうなってしまうのかと、毎話続きが気になる展開で次のエピソードに進む。

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