『ONE DAY』に緊迫感を与える中谷美紀の演技 闇の組織にいち早く気づく存在に?
二宮和也、中谷美紀、大沢たかおがトリプル主演を務めるフジテレビ系列の月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』がスタートした。
第1話は、登場人物それぞれが置かれている状況がよく分かった回となった。記憶喪失になり自分が何者かも分からないのに犯罪者として追われる身となってしまった勝呂寺誠司(二宮和也)、突然逃げ込んできた誠司を追いかけようとして、先代から伝わるソースの入った寸胴鍋を倒してしまった老舗レストラン“葵亭”のシェフ・立葵時生(大沢たかお)、そして、誠司が巻き込まれたクリングル号記念公園の事件をいち早く取材した地方テレビ局、横浜テレビの看板キャスター・倉内桔梗(中谷美紀)。
3人の1日が少しずつ交差するのに大きな役割を果たしているのが、桔梗が所属している横浜テレビだろう。本作はフォーカスする人物が3人いるため、舞台や視点が何度か変わるのだが、その視点をつなぐように時生のレストランで桔梗が出演しているニュースが流れるのだ。また、横浜テレビは地方局でありながら、予定していたクリスマス特集を取りやめて、誠司が関係している事件の特集を組もうとしており、そこには時生の娘・査子(福本莉子)が新人記者として所属しているのだ。今後の物語の展開次第では、重要な場所となりそうである。
中谷演じる桔梗は、とにかくカッコいい。深夜に起こったクリングル号記念公園の事件のことを聞くやいなや、自転車で颯爽と現場にやってきて、あとから来た取材陣とともに1分もしないうちに現場レポートを開始。その姿は報道に対する使命感がひしひしと感じられた。ただ、この力を入れた報道は桔梗がやや強引に押し進めているもの。横浜テレビの方針としては、もっとお茶の間が楽しめるような番組を流していきたいようだ。桔梗もそれなりの間、キャスターをやっているから、会社の方向性は理解できているのだろう。自分の番組が打ち切りになるという噂を耳にし、スタッフに軽い口調で「私の後任、調べといて」と言った桔梗は、悔しい気持ちと半ば諦めている気持ちがごちゃまぜになったような表情と声色をしていた。「(キャスター)をやれといわれればやりますけど」とさっぱりと言い切った査子とは違う、仕事に深い思い入れのある大人の複雑な心境を中谷は見事に表現していた。