『きのう何食べた?』が教えてくれる“変化”の楽しみ方 変わらないために変わること

『きのう何食べた?』が描く“変化”の楽しみ

 ケンジが休みの日に合わせて有給をとったシロさんは、ケンジを連れて朝の散歩へ出かけた。もっとも、優雅なお散歩デートを想像していたケンジにとって、シロさんとの散歩はデートでも散歩でもなく競歩に近いものだったが。家へ帰ってきた2人は、佳代子が教えてくれたバターチキンカレーとチーズナンを一緒に作って食べる。そんな折、シロさんは愛情深い言葉をサラッと言ってのけた。

「これ作るの面白そうだったからさ。お前と一緒にやったら楽しいだろうなと思って」

 ケンジが感慨深くシロさんの言葉を受け止めていたように、視聴者もまた、シロさんの変わらない愛情と少しずつ変化している愛情表現をしみじみと感じたことだろう。シロさんはケンジと休みを合わせた理由も、カレーを一緒に作った理由も「休日出勤がかさんでいたから」「佳代子さんに聞いて作りたかっただけだよ」と少しそっけない答え方をするが、これはきっと照れ隠しだ。シロさんはこれまでも、ケンジが好きな食べ物を作ったり、ケンジの健康を気遣ったりと、ケンジを思った行動を見せてきた。そんなシロさんが「お前と一緒にやったら楽しいだろうな」と思いを言葉で伝える姿は心に響く。

「いつの間にか変わってるっていうのも悪くないよ」
「どこかで覚悟決まって、受け入れていくのもいいなって」

 あらゆる変化に誰しもが不安を覚えることだろう。けれど、シロさんが言うように、いつの間にか変わりゆくものもある。そんな変化を受け入れることも、変わらないための手段の一つといえる。第1話ではケンジが「色々変わっていくけど、悪いことばっかじゃないよ」と優しい言葉をかけていたが、シロさんは今後、色々変わっていくことをどのように受け入れていくのか、その姿にも目を向けていきたい。

■放送情報
ドラマ24『きのう何食べた? season2』
テレビ東京系にて、毎週金曜深24:12~放送
Lemino、U-NEXTにて、各話放送終了後から第1話〜最新話見放題配信
出演:西島秀俊、内野聖陽、山本耕史、磯村勇斗、マキタスポーツ、田中美佐子、田山涼成、梶芽衣子
原作:よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社『モーニング』連載中)
脚本:安達奈緒子
監督:中江和仁、松本佳奈、平田大輔
音楽:福島節、澤田かおり
チーフプロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京)
プロデューサー:阿部真士(テレビ東京)、佐藤敦、瀬戸麻理子
企画監修:神田祐介
制作:テレビ東京、avex pictures
制作協力:オフィス・シロウズ
製作著作:「きのう何食べた? season2」製作委員会
©︎「きのう何食べた? season2」製作委員会 ©︎よしながふみ/講談社
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/kinounanitabeta2/
公式X(旧Twitter):@tx_nanitabe
公式Instagram:@movie_nanitabe

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる