『ブギウギ』『おちょやん』『らんまん』でも 視聴者の心をつかむ朝ドラのバトンタッチ

視聴者の心をつかむ朝ドラのバトンタッチ

 そんな視聴者の気持ちを意識したかのような、印象的なバトンタッチが描かれたのが『おちょやん』だ。“語り”を担当した落語家の桂吉弥が「きたきた、いよいよ例のやっちゃ」などと視聴者の待ち遠しい気持ちを代弁するかのようなセリフで、主人公が子役から本役になる瞬間を盛り上げる。ついに大人になった千代(杉咲花)を見ることができるかと思いきや、視聴者の楽しみな気持ちは逆手に取られることに。期待を裏切り次々と宗助(名倉潤)やみつえ(東野絢香)が登場するというユニークな演出が続く。クスリと笑ってしまうようなシーンの後に、満を辞して千代が登場すると今度は語りから「(登場の仕方が)普通〜」と厳しいツッコミ。喜劇を描く『おちょやん』らしいユニークなバトンタッチだった。

『おちょやん』少女編が描いたもの 属性から解き放たれてスタートラインに立つ千代の姿

「うちは捨てられたんやない。うちがあんたらを捨てたんや」  いまだかつて、父親に対してこんな台詞を吐く朝ドラヒロインがいただろ…

 また、『ブギウギ』同様、主人公を象徴するような演出で子役時代から大人へとシーンを変えたのが、『らんまん』だ。子供時代の万太郎(小林優仁)が持つキンセイランの押し花がクローズアップで映し出され、徐々に引きの映像になると神木隆之介にすり替わっているなど、カメラワークも特徴的。あらゆるところで植物の存在がキーとなった『らんまん』らしいバトンタッチだったと言えよう。

『らんまん』森優理斗、小林優仁から神木隆之介へ 3人に共通していた瞳の輝き

朝ドラ『らんまん』(NHK総合)第2週「キンセイラン」のラストにて、18歳となった万太郎(神木隆之介)が登場した。手に持っている…

 『ブギウギ』での趣里の登場についてSNSでは、「趣里さんかわいい! 子役のみんなが素晴らしすぎて別れが寂しいわ」「来週からかわいい趣里ちゃんが見れるの楽しみ」などの声が。華やかな舞台の様子とともにお披露目される大人版スズ子の存在は、視聴者の心をガッチリ掴んだようだ。

 新しい朝ドラがはじまるたびに、子役週が終わる寂しさはつきもの。だがそれも束の間、ここから始まる福来スズ子の物語がすぐに視聴者の心をつかむことだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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