『呪術廻戦』「渋谷事変」七海建人、虎杖悠仁らにとって“五条悟”とは 奪還がいま始まる

『呪術廻戦』七海建人らにとっての“五条悟”

「俺」から「僕」になった五条悟を知る七海建人

 「五条悟が封印された」という知らせを聞いて、「人間界の終わり」だと断言した七海は五条の一歳下の後輩である。「懐玉・玉折」でも同級生の灰原雄と共に登場し、五条が勝手に延期した沖縄での護衛に振り回されて血管をピキピキさせていた。高校生の時から彼は常識人のようだったし、逆にモラルの欠けた五条を「軽薄」と感じて手放しに尊敬はしていなかったのかもしれない。実際、灰原が死んでしまった時に「もうあの人一人で良くないですか?」と溢れてしまった言葉から、複雑な感情が窺える。小説『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』では当時のことを「慕いがいのない先輩だった」と嫌味を言っていた。しかし、五条を肯定はしないが彼に対する同情の念は持ち続けていたのではないだろうか。

 七海も学生時代、唯一の級友であり親友の灰原を亡くしている。散々な想いを経て、呪術師としてやっていくことを諦め卒業後は逃げるように一般企業に就職した。しかし、同じように夏油を亡くした五条は逃げることなく呪術師として、教師としてそこに立ち続けている。七海が呪術師の道に戻ろうと思った時、一番に連絡した相手が五条なのも彼に対する信頼の表れに感じられるのだ。実際、五条は虎杖の指導を任せるほど七海のことを信頼していた。

 学生時代に「俺」と自称していた先輩が、大人になって再会したら「僕」呼びになっていた。その差異に気づけるのは家入硝子と夜蛾学長、そして伊地知と七海だけなのだ。五条がキャラクターとして魅力的なのは、そういった彼の過去を虎杖や野薔薇をはじめ生徒たちがあまり知らない、というところにもある。だからこそ、それぞれが捉える多角的な“五条悟”が存在している。それなのに、五条が“答え合わせ”をしないから本当は彼が何を想っているのか誰も理解できない、その孤高な存在としての佇まい。

「期待してるよ、みんな」

 そう言って封印されてしまった彼を、果たして仲間たちは奪還することができるのだろうか。

■放送情報
『呪術廻戦』第2期
MBS/TBS系にて、毎週木曜23:56~放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、中村悠一、島﨑信長、櫻井孝宏、諏訪部順一原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史、小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
「渋谷事変」オープニングテーマ:King Gnu「SPECIALZ」(Sony Music Labels)
「渋谷事変」エンディングテーマ:羊文学「more than words」(F.C.L.S.)
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp

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