『呪術廻戦』“偽”夏油に宿る夏油の“肉体と魂” 五条悟と呪術師らの信頼関係が際立つ回に

『呪術廻戦』五条悟と呪術師らの信頼関係

 あの、五条悟が封印されてしまった。『呪術廻戦』第34話「昏乱」では、“偽”夏油傑の獄門疆によって封印された五条を救出するため、虎杖悠仁ら呪術師たちが渋谷駅に集まった。五条の封印は何を意味するのか。本編では改めて五条の存在の大きさを痛感させられた。

 獄門疆に捉えられてもなお余裕の表情を見せる五条。表情を一変させた五条が「いつまでいい様にされてんだ 傑」と呼びかけると、夏油の右腕が反応し自らの首を締める。もちろん、“偽”夏油が自らの首を締めたのではなく、夏油本人が反応しているのだ。「肉体は魂であり魂は肉体なんだよ」と口にする“偽”夏油だったが、身体には夏油の魂が確かに宿っている。これはあくまでも推測にしかすぎないが、夏油は自らの意志に反する行動への抵抗だけではなく、五条封印を望んでいなかったのではなかったのではないか、と思う。だが、獄門疆は五条を封印してしまった。

 冥冥らと行動をともにしていた虎杖のもとに呪術高専京都校の究極メカ丸が残した傀儡から五条の封印が伝えられる。五条封印に疑念を抱いている冥冥たちを説得したメカ丸は、虎杖にある司令を伝達する。それは「渋谷へと向かい五条封印を術師全体に伝えること」だった。五条の死は呪術界と人間社会の転覆を意味している。

 しかし、最強の呪術師である五条はただやられる男ではなかった。「特級呪物」である獄門疆であっても、五条クラスの術師の情報は処理することができずに質量が変化。“偽”夏油らはこの場から動けなくなってしまった。五条も自分の力で解決しようとせずに、「期待してるよ、皆」と教え子たちに信頼を寄せているのが素敵だ。

 七海班、禪院班、日下部班の3班が帳の中へと向かっている間に、メカ丸から封印された五条をその場から動かせないことを伝えられた虎杖は渋谷の高層ビルの屋上へと駆け上がり、「ナナミーン!!!! ナナミンいるーー!?」と大声で五条封印の知らせを七海建人へと伝える。漫画では1ページで描かれたこのシーンだが、アニメでは十分に尺を取って丁寧に描いていたのが印象的。渋谷一帯に反響する虎杖の声の演出は臨場感が伝わってきて良かったし、漫画では伝わりきらなかった「ナナナナナナミン!!」の言い方が可愛らしかった。

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