加藤清史郎、“名子役”から“演技者”へ 『最高の教師』相楽役で視聴者を圧倒

加藤清史郎、“名子役”から“演技者”へ

 “子役”はいつから“子役”であることをやめるのだろうか。彼・彼女らはいつから一人の俳優として認識されるのだろうかーー。

 放送中の『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)に出演している加藤清史郎は、現在22歳にしてそのほとんどをエンターテインメント界で過ごしてきた人物だ。かつては時代を代表する“名子役”として名を馳せた存在であり、いまの20代以上の方ならおそらく誰もが彼のことを知っているだろう。

 そんな国民的な存在である彼が今作で新境地を開いてみせている。“演技者”としての姿を作品に刻み込み、私たち多くの視聴者を圧倒しているのだ。

 加藤と同じく子役出身者の松岡茉優が主演を務め、かつて“天才子役”とも呼ばれた芦田愛菜もメインキャストの一人に名を連ねている『最高の教師』。松岡が扮する教師がさまざまな問題を抱える「鳳来高校3年D組」の生徒たちと対峙していく学園ドラマだが、加藤の役どころに意外性を感じたのは筆者だけではないだろう。

 そう、彼が演じている相楽琉偉はクラスで一番の問題児なのである。番組公式サイトの人物紹介ページには、「全ての行動軸において『楽しい』を優先する人物。常に笑みを浮かべているが、その笑顔こそが周りの人間に畏怖を与える」と記されている。学園ドラマにおいて“問題児”の登場は珍しいことではないが、いまどきの彼・彼女らはかつての“不良”とは大きく違う。非常に狡猾で、弁も立つ。自身の置かれている状況を把握する能力に長けていて、どのような言動をとれば周囲の者たちを掌握できるかをよく知っているのだ。相楽もまさにこの手の人物で、加藤はこれを完全にモノにした。

 “モノにした”と過去形で記述したのは、劇中での相楽に変化があったのはもちろんだが、それ以上に加藤が、ドラマの展開の中でキャラクターを掴んでいったわけではなく、第1話目からそれを達成していたからだ。繰り返すように本作は学園ドラマである。生徒役には彼と同世代の次代を担う俳優たちが隅から隅まで並んでいる。10年後、主演の松岡のようなポジションについている者だっているに違いない。しかしそんな中でも加藤はきっちりと、“クラスで一番の問題児(ヤバい奴)”だと示した。あの不敵な笑みがスッと引いていくのを目にした瞬間、恐怖を覚えたのは筆者だけだっただろうか。そんなことはないはずだ。そして回を重ねるごとに、彼を危険視する気持ちはどんどん大きくなっていった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる