『らんまん』神木隆之介が表現し続けた強さと優しさ 万太郎の“人生の証し”は人々の中に

『らんまん』万太郎の人生の証しは人々の中に

 竹雄と綾(佐久間由衣)が酒蔵を買い取り藤丸(前原瑞樹)とともに沼津へと移ることで、別れが印象的に映し出されているが、同時にそれぞれの再出発の時でもある。叔父の意志を継ぎ、万太郎に図鑑発刊のための費用を支援したいと申し出た資産家の永守(中川大志)。陸軍に行くことが決定している、“生きた証し”がほしいという彼に、万太郎は戦地から戻ってくるまで図鑑の準備を進めておくと“先を照らす約束”を結んだ。和歌山にある神社の森で採集してきたツチトリモチを、万太郎は大学に提出するという。それは国の神社合祀令に歯向かうことを意味する。きっと教授の徳永(田中哲司)は黙っていないだろう。それでも、目の前に困っている人がいれば手を差し伸べる。そこに人も、植物も関係はない。

 強さと優しさが同居する、多くの人々から愛される万太郎。ここでの証しとは、図鑑や標本を指すのだろうが、万太郎の生き様まではきっと写せはしない。竹雄や永守、そして後世を生きる虎鉄(濱田龍臣)らの心に残る万太郎の姿もまた証しなのだと思えた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】 
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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