『こっち向いてよ向井くん』“テーマ”に回帰した最終回 思い悩む赤楚衛二が出した答え
向井くん(赤楚衛二)がついに告白へ。『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の最終話では、向井くんが洸稀(波瑠)への想いに気付く。だがその気持ちは一筋縄ではいかなかった。
麻美(藤原さくら)と元気(岡山天音)は、かつてのいい関係に戻る。籍は入れないままだが、将来のことまで積極的に話し合っていた。「パイレオ」は続けることになり、麻美も会社が休みの日には店を手伝うことに。2人はまた手を取り合って歩み始めたのだ。一方の、向井くんは洸稀を好きになっている自分に動揺する。好きと伝えたら友達のままではいられないかもしれない、つまり大切な友人を失うかもしれないという焦りに葛藤していた。たとえ想いを伝えなくても、いつか洸稀に恋人ができたら向井くんの前から立ち去ってしまうかもしれない。伝えるべきか伝えないべきか。思い悩む向井くんだが、意図せず洸稀に「俺、坂井戸さんのことが好き」と言ってしまった。すると洸稀は「正直、すごく……すご~く戸惑ってる」と複雑な表情。2人の関係は果たしてどうなるのか……。
洸稀の「大人の男女が一緒にいるとさ、すぐ恋愛に結び付けられちゃうよね」という言葉がグサリと刺さる。この時点で、洸稀の中での向井くんはあくまでも“友達”という認識だったのだろう。まだ向井くんのように相手を失いたくないという想いや、相手がかけがえのない大切な人であることには気付けていないように見えた。だが向井くんの「好き」という言葉は少なからず洸稀の気持ちを動かしたように思える。向井くんと会えなくなることが嫌だと想う気持ちや、また会って話したい、向き合いたいという気持ちが洸稀の中に生まれたのだ。だからこそ洸稀は「パイレオ」で待っていたのだろう。
そして「パイレオ」での向井くんの言葉も、このドラマらしさに溢れていた。シンプルな言葉や感情ではなく、相手の考え方や価値観をおもんぱかって何度も何度も反芻して考えた結論が「坂井戸さんと向き合いたい」なのだ。向井くんは数多の恋愛迷子のすえに、付き合うことや結婚することではなく、“洸稀にとってのいい関係”を模索することを提案した。それは2人が向き合う中で作る関係。名前はなく、枠組みもなく、世間からの見え方で解釈されることもない世界なのだ。2人はこれからも、意見の交換をしながらお互いを知っていくのだろう。1人になりたい洸稀の考えが尊重されながらも、向井くんと一緒にいる時間を過ごすことができる。交際中とまでは言い切れないかもしれないが、麻美や元気と同様に“好きあって”いれば、それだけで2人はいいのだ。