『シッコウ!!』は伊藤沙莉演じるひかりの“成長物語” 織田裕二のレアな長ラン姿も

『シッコウ!!』はひかりの“成長物語”

 ドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系)が9月12日に最終回を迎えた。

 「執行官」というこれまでドラマや映画で描かれてきたことがほとんどなかった職業を題材にした本作は、新たなリーガルエンターテインメントとして、一つの成功例を作ったと言える。それは、執行官という視点を通じて、今の日本の様々な側面を見せることができるということを明らかにしたこと。第1話の家賃滞納にはじまり、最終話(第9話)の“最も難しい執行”と言われているという子どもの引き渡しまで。各話の数え方が“ケース”であるように、様々な“事例”をもとにして、思わず目を背けてしまいたくなるような日本の問題に焦点を当てていった。

 そしてもう一つは、吉野ひかり(伊藤沙莉)のシンプルな成長物語であること。とにかく犬が好きで、犬に好かれるという特殊な能力を買われ、職無しとなっていたひかりは、執行補助者として裁判所の執行官室に誘われることとなる。自身を友と呼び、手を差し伸べてくれる執行官・小原樹(織田裕二)との運命的な出会い。バディではあるのだが、2人の場合
は親友という表現の方がしっくりくる。

 例えば、最終回で小原が言った「俺は君が好きだ。人として惚れてる」というセリフ。「いつか、執行官になりたいです」と本気で考え、打ち明けてくれたひかりに、小原もまた人前にも関わらずに、本心から向き合っていく。情に厚く正義感の強い、それでいて現実的で公平な小原の存在がなければ、ひかりは執行官を目指すことはなかっただろう。ひかりの思いを受け止め、「応援する」と背中を押しつつも、「執行官は司法の最後の砦ではあっても、ちっともヒーローなんかじゃない」と、くぎを刺す小原の姿は師弟のようでもある。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる