『トリリオンゲーム』最強タッグとなった目黒蓮と今田美桜 2人が捨てたごく“普通”の幸せ

『トリリオンゲーム』ハルと桐姫が手を組む

 「#めめみお」のハッシュタグがSNS上で盛り上がった金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)第9話。「めめみお」とは、主人公・ハルを演じる目黒蓮のニックネーム“めめ”と、ヒロイン・桐姫役の今田美桜の“みお”からつけられたもの。手に汗握るスリリングな展開の中で、2人が思い巡らせた結婚後の風景があまりにも美しくて、多くの人の心を打ったようだ。

 ドラゴンバンクの社長・黒龍(國村隼)から、700億円でトリリオンゲーム社の買収話と桐姫との結婚話を持ちかけられたハル。買収話は決して悪い話ではない。このまま話に乗って会社を売れば、人生勝ち逃げコースとなる。だが、ハルが手に入れたいと欲したトリリオンダラー(1兆ドル)は、この世のすべてを手に入れられる額。求めていたのは人よりも裕福な生活ではなく、誰にも屈することのない場所だ。買収に乗れば、黒龍に300億円で未来を買われるようなもの。金銭的には豊かになっても、心が満たされない。端的に言って面白くないのだろう。

 それは、桐姫との結婚話もそう。これまでのやり取りを見ていれば、お互いに好意のようなものが芽生えていることは、本人たちも気づいているはず。しかし、結ばれるにしても黒龍の言いなりになるなんて、世界一のワガママ男とワガママ女である2人の気が済むわけがない。とっさに「すでに結婚をしている」とウソをついて断ったハル。しかし、「ちーとムカついてな」と珍しく感情的な行動に出ているところを見ると、相当面白くなかったようだ。それだけ、ハルにとって桐姫の存在は特別で、もっと時間をかけて楽しみながら距離を縮めていきたかったのではないかと勘ぐりたくなる。

 買収話も結婚話もすべて蹴り、逆にドラゴンバンクを飲み込みにいくと、黒龍に宣言をしたハル。資本力に勝つためには、一発逆転を狙って賭けに出るしかない。そこで目をつけたのがキャッシュレス決済サービス「トリンリンPay」だった。ソーシャルゲームやインターネットで生み出した利益をすべて決済サービスの開発&広告費用に投資する。それでも競合他社に比べて後発なトリンリンPayが、市場の覇者になるのはむずかしい。この状況を打破するためには、国民のほとんどが所持していると言われる交通系電子マネー「PASCA」を取り込むしかない。そう考えたハルが私鉄連合の会長のもとへと乗り込むと、なんとそこには桐姫の姿が。

 黒龍によってドラゴンバンクグループの子会社であるスーパーマーケットチェーンに異動させられた桐姫。ハルと時を同じくしてドラゴンバンクの電子マネー「ドラコ」を使った戦略を思いつき、やって来たのだという。桐姫を見つけた瞬間に見せたハルの笑顔は、ライバルとして張り合う楽しさでもあり、どんなに環境が変わったとしても決して折れない女性としての魅力を再確認した嬉しさでもあるように思えた。2人の狙いはひとつ。しかし、会長はどちらの提案も受け入れない。ならばと、ここでハルが桐姫との結婚を提案する。家を買って、子どもを作って、犬も飼って、日曜日には手を繋いでピクニックに出かけ、年に1度は家族で海外旅行へ……それはごくありふれた“普通”の幸せ。屈託のない笑顔で並ぶ2人、その間には可愛らしい赤ちゃんも。桐姫の脳内で流れた数秒の映像は、「こんな“めめみお”が見たかった」が詰まったものだった。

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