『トリリオンゲーム』目黒蓮の鮮やかな立ち回りに心が震える 今田美桜が突きつけた挑戦状
ジェットコースターのような展開とはまさにこのこと。金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)第8話。もう何度もハル(目黒蓮)のハッタリを見てきたからか、今回は「これは……もしや!?」と気付けるようになった。だが、ハルはさらにその上を行く動きで私たちをブンブンと揺さぶっていく。その鮮やかな立ち回りに、今回も大いに心が震えた。
ソーシャルゲーム「プチプチアイランド」が大ヒットし、トリリオンTVも注目を集めたことで、いよいよ黒字転換を果たしたトリリオンゲーム社。しかし、そんな好調なトリリオンゲーム社を、動画配信サービスのD-REXのCEOとなった桐姫(今田美桜)がもちろん放ってはおかなかった。D-REXは海外の大手家電メーカー2社と業務提携し、テレビのリモコンに専用ボタンを設置。そして月額料金を1年間無料にするという、マネーパワーでトリリオンTVを徹底的に潰しにかかってきたのだ。
資本力では到底敵わないと考えたハルは、一発逆転を狙って世界的な人気を誇るアニメスタジオ・ポポラに目をつける。どこの動画配信サービスにも配信していないスタジオ・ポポラの作品。その配信権を手に入れることができれば、一気に世界中からユーザーを集めることができると見込んだのだ。だが、そのアイデアは桐姫も考えていたようで、D-REXがすでにスタジオ・ポポラとの新作アニメの配信独占契約を締結し、不敵な笑みを浮かべる。しかも、新作は自社ゲーム『ドラゴン娘』のアニメ化作品という抜かりのなさ。さて、ハルは桐姫に対してどう出るのか……というのが第8話の大きな見どころだった。
ハルが得意としているのは、相手のくすぶっている部分を焚き付けること。どんなに成功しているように見える人でも、“本当はこうしたい”という思いは必ずあるものだ。多数のヒット作品を世に送り出してきたスタジオ・ポポラにも、実は途中で頓挫した企画があった。その名も『風の丘の少女』だ。スタジオ・ポポラは「天才」と呼ばれる監督・宇佐美マリ(麻生祐未)と、プロデューサー兼社長の安住久子(中島ひろ子)のコンビで成り立っている。圧倒的なセンスを持つ宇佐美と、それを実現する調整ができる安住。それぞれの強みを活かして両輪で走ってきた姿は、ハルとガク(佐野勇斗)とまるで同じだ。
そして『風の丘の少女』は、宇佐美と安住がまだ何者でもなかった20年前、2人で最初に映画にしようと取り組んでいた思い出の作品。しかも、安住の少女時代の実体験が設定のベースになっていることから、特別な思い入れのあるものだった。そんな「いつか実現したかった」思いに火をつけ、一緒にアニメ映画を作ろうと提案する。もちろん、すぐにYESとはいかない。そこでお得意のハッタリだ。流暢な英語で世界最大手のアニメ会社・カルフォルニアランドのアートディレクター・ウォルトと500人のアニメーターを手配したかのように見せたハル。だが、実際はバックパッカーたちにウォルトやアニメーターのフリをさせただけ。この手法は、『ドラゴン娘』を手掛けたプロデューサー“世界の堀本”をでっち上げたときと全く同じとあって、すぐにニセモノなのではと思った視聴者も少なくなかったはず。